【HQ】婿に来てええですか【宮治】

35.体育祭 ページ37

侑side






クラスのHRにて、

体育祭実行委員が競技参加について

話し合いを始めていた。







「じゃぁ次〜女子のバレーやる人！」






一人くらいやりたい奴おってもええのに、

無反応なだけあって、教室がシンとする。






「ええ、やる人おらんの？」

「このクラス女バレおらんもんなぁ」

「侑くんやりなよ！銀島も！」

侑「は！？俺女子ちゃうし！！」

「女装すればいけんのちゃう？笑」

侑「ふざけんなや！誰がやるか！！」






チラッと斜め後ろの席を見ると、

ケタケタ笑う教室の空気には馴染まず、

頬ずえをついては窓の外を

ボーッと眺めとる奴が一人おった。







「んー経験者とかもおらんの？」

「運動神経良い人とか」

「やってバレー痛そうやん」

「突き指とかしたないし」






まぁ経験者ならともかく、

初心者でバレー言うたら皆そう言うわな。

女子は尚更。







「そういえばAちゃん、
去年女バレに勧誘されとったよな？」

『…え？』






存在を消してたんやろうけど

不意に名前を呼ばれて戸惑っている。







「うんうんっ確か！
中総体で優勝した中学出身ちゃうっけ？」

「え、そうなん？凄いやん！！」

「じゃぁAちゃんは決定やな！」







優勝校ってだけで字面が強い。

それで勧誘されとったんやから下手なわけないねん。






友A「あーちょっとみんなっ
勝手に決めたらあかんわ、！」

友B「Aがやるってまだ言うてへんしッ」





Aちゃんと仲のいい女子ふたりが割り込むと

何やら庇うように仲裁に入る。






『私は遠慮するわっ』






それに続くようにAちゃんは

呆気なくバレーを断った。







「ええーなんで？」

「Aさん帰宅部やけど運動神経もええやろ？
体育の時いつも動きいいし」

『もう数年前の話やし、体鈍っとるし！
迷惑掛けんで？ほんまっ。
あと店の手伝いで練習とか出れんやろうし、ごめんな！』






いっつもせんような複雑な表情しとって

何かあるんやろうなって気になってしまった。







移動教室の時、廊下を歩きながら、

前にいるAちゃんと仲良い女子二人に声を掛けた。






侑「なぁなぁ」

友A「ん？」

侑「アイツ、なんでバレー辞めたん？」

「「…」」






分かりやすく口を紡ぐ。







侑「え、なんやねん」

友A「お願いやからそれ、本人には絶対言わんで」

友B「あんたらが思ってるよりあの子の過去、
だいぶ重くてしんどいから」

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