【HQ】婿に来てええですか【宮治】

34.それは原動力 ページ36

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治「あの、…Aちゃん」

『えっ』






すぐに分かった。






"さん呼び"されてたんが

前触れもなく急に"ちゃん呼び"に変わった瞬間。






別にだからどうとかないねんけど、

片割れの侑くんは"ちゃん呼び"やから

変に比較対象にしとって気にはなっとった。







多分思ったより喋る機会多いから

"さん呼び"やと遠い思ったんやろな、

治くんの周りとも結構喋るし。






普通に嬉しいことやけど！








治「忙しかったらすぐやなくてええねんけど、その」






目がチラチラ、キョロキョロ。






こっちは治くんと合わせたいのに

全然目が合わない。ん？







治「練習試合ん時、弁当作ってくれへんか？」

『ええけど…え、待って、！お握りやなくて弁当？』

治「おん」







絶対おとんの作る飯のが美味いし、

婆ちゃんの味付けには敵わないのも知っとるけど







治「Aちゃんの作る弁当で頼むわ」

『…っ、』







強調するように

"私の弁当が食べたい"って言われて

嫌な気はしない。







『私のでホンマにええの？』

治「おん、なんやAちゃんの飯が一番元気でんねん」







なんなら、めちゃくちゃ嬉しかった。







『もうすぐ体育祭ウィーク入るし、その後でもええ？』

治「おん、全然ええよ。
タイミングはそっちに任せるわ」

『わかった！
ほんならアスリート向けのメニュー考えとくわ！！』








なんて事ないお握り一つでも

"美味しい"と感じる事が実はその人を救ってたりする。







"「飯はこっちが求めればいつでも美味いもんやで！」"








私をあの時救ってくれたあの子みたいに、

当たり前のように飯を愛して

毎日誰かを飯で元気にしてあげようって。






やっと、やっと！

私のホンマにやりたかった事が形になって来た気がする。






治くんは美味しそうに食べてくれるから

尚更…頑張らなっ！

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