【HQ】婿に来てええですか【宮治】

30.見守る目 ページ32

侑side






治やなくても部活終わりのこの時間は、

みんな大層、腹減りまくりで。







侑「よっしゃ何にしよ！！」

銀「やっぱ定食かー？」






メニュー表見ただけで余計に腹が減っていた。






『え、アンタら先選ぶん？』

銀「え？」

『こっちの人ら先輩ちゃうん？』







困ったように眉を曲げてアランくんと北さんを庇う。







ア「おおー！！ちゃんとしてんな自分！！
普通そうやんな！！」

『はいっ運動部はザ縦社会ですから！』

ア「そうやそうや！！もっと言ったれ！」







クラス一緒やし見た時すぐ思ったけど、

人との距離の縮め方めちゃくちゃ上手いねんなぁ。

これぞ人たらしって感じがする。







『主将さんでしたっけ？』

北「ん？」

『お客さん少ないんで他のテーブルからも持ってきますね！！』






でもこれ、誰にでも同じようにされたら

堪ったもんやないなぁ。







『メニュー表どうぞ！
揚げ物とかここら辺は時間もらいますけど
何でも好きなの選んでください！
決まったら呼んでくださいね〜！』

北「…ええ子やな」






北さんの言葉に深い意味はないけど、

こんなん片っ端から人を秒で虜にしてったら

サムの入る隙間ホンマにないんちゃうか、？







侑「いくら北さんでも狙ったらあかんですよッ！
あの子は治が狙っとるんで！！」

治「お前ちょっとホンマに黙っとれッ！！」

侑「いったッ！！叩かんでもええやろッ！！」

治「お前が要らんことばっか言うからやッ」

侑「暴力男はモテへんぞ！！」

治「ツムにしかせんからええねん」

侑「なんやと？クソサム〜ッ、！、！」




『…？』







Aちゃんがチラッとこっち見た気するけど、

コイツはそれに気付いてるんやろか。

いや、そんな余裕今のサムにないやろうな。






てか…






俺には何がどう転んでも絶対言わんけど、

まぁ双子やし、点と点繋いでったら何となく分かるもんで。







侑「ほんまにあん時の子なんか？Aちゃん」

治「あ？何やねん急に」

侑「全然雰囲気ちゃうやんけ、見間違いちゃうん？」







俺はチラッと見ただけやからそんな言い切れんけど、

サムは疎いし鈍いし、普通にやりかねない。






出会い始めの理想が

どんどん良い方に膨らんでってるだけちゃうんか？







治「いや、間違いなくあの時の子やねん」







でも迷いなく言い切ったサムがAちゃんを見る目は、

ずっと見守ってる男の目をしとった。

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