【HQ】婿に来てええですか【宮治】

19.クレーム ページ21

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『あ、おはよう』

治「おはよう、土曜はありがとうな」

『おん、それはどういたしまして！』






ポケットから財布をとり出すと、

小銭を摘んで差し出してくる。







『え？』

治「おにぎり代。それ俺のやろ？」

『あー待って！！タイムっ！！』

治「ん、なんや？」







この前みたいにまた流れで渡してまうんは無しやで。







『この前の梅干し大丈夫やった？』

治「あー梅な。めっちゃ酸っぱかったわ」







私の手の中にあった袋を

「早うよこせ」と勢いで持ってかれる。







『やっぱり？また入れてもうたけど変える？』

治「俺が頼んだんやからええねん」

『そうやけど、私飛びっきり握るの美味いわけちゃうで？』






ご飯屋の娘ってだけで子供の頃から料理してた訳ちゃうし、

手伝い始めたんも中3の頃からやし。






まだまだ練習せなあかん事は山ほどあんねん。







治「せやなあ〜塩の塊なっとってビックリしたわ」

『えッ、！？』







涼しい顔でけっこうストレートに言うてくる。

治くん、分かってて意地悪してんな絶対。







『それクレームやんッ』

治「大袈裟やな、ちゃうわ感想やで。
美味かったから大丈夫やって」






後付けのように言われたって何も響かんのですよ。







『嫌やわ！！そんなん言われて
また食べてもらう勇気私にはないっ！！
やっぱそれ返して！おとんに握ってもらうからっ』






治くんから袋を奪うと透かさず手が伸びてきた。







治「はぁ、！？せっかく作ったんに勿体ないやろ！！」

『これは私が食べればええ話やっ！』

治「時間無くなるわ、早う買わせてくれこのお握りッ！」

『嫌やっ！！せやから早う新しいの作らせてくれッ
遅刻してもしらんで！？』








袋をシャカシャカ鳴らしながら、

お握りの奪い合いを数秒繰り広げていたら…






力とバランスのリズムが崩れて後ろに寄ろける。






『うぉ、！』

治「うわっ、」

__________ドンッ！！






そのままドミノのように治くんも倒れてきて、

お店のガラス引き戸に2人してぶつかった。

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