cinderella_77 ページ29
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程よく過ぎた時間に得るものは何か不思議な感覚をもたらす。
岸くんに別れを告げられたのは数時間前だというのに、、もうかなりの時間が経っているような、そんな気がした。
『今日はありがとう』
とっても便利な言葉と分かっていながらも、私は躊躇なく使ってしまう。
廉「俺の方こそありがとうな」
冷たい風が服の隙間に入れば目が覚めるようにシャンとする。
廉「寒いん?」
『ううん、大丈夫だよっ』
そうは伝えても彼って私の言葉より表情を見てる。
廉「んっ」
無駄な事を言わずにスっと差し出された彼の上着。
こういうところ、、本当に紳士なんだから。
『いいよ、廉くん風邪ひくじゃん』
廉「ひかんって、ほら」
半強制的に上着を肩にかけられると、私は彼の匂いに包み込まれた。
チラチラ時計を気にしていれば、彼もそれに気付いてくれる。
廉「送ってくで」
彼はいつものように私の腕を引いてくれるけど
『まだ門限過ぎてないし、廉くん明日会議でしょ?今日は一人で帰れるから大丈夫だよ』
定期的に行われる会議ではやっぱり大事な役目を果たしている彼。
廉「よう会議とか把握しとんな(笑)」
『それくらい分かるよ』
私の事はいいから明日の準備をして欲しいと思っての配慮だった。
『じゃぁ、おやすみっ!』
タクシーを止めてそれに乗ろうとしたのだが
廉「待ってッ」
『え?』
後ろを振り向く前に、
−−−ギュッっ。
後ろからフワッと包まれた感覚は上着よりも彼の匂いが強くて、
『れん、くん?』
廉「嫌や」
私は彼に抱きしめられていた。
『なにが?』
廉「…もっと一緒におってよ」
キュッと抱きしめ直した彼は私を離してはくれない。
『でも…今日はもう帰んないと』
さすがに親に毎回怒られてちゃ自分はまだまだ幼稚だと自覚する。
だから今日はそのまま帰ろうと思ったのに、、
廉「怖いねんッ…またすぐ寄り戻しそうで、ッ」
後ろから微かに触れた彼の温もりに何も感じないわけじゃない。
『今はいろいろと時間が必要なんだよ、…考える時間くれない?』
廉「せやんな」
ゆっくりと離れた廉くんだったけど、
廉「俺、しんどいよッ、」
そんな顔させたい訳じゃないのに、。
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まなみ - どっちも応援したくなります。岸くんどこに行ってしまうのかな?すごく気になります(*´Д`) (2019年12月23日 21時) (レス) id: 0d9bac845e (このIDを非表示/違反報告)
さとこ(プロフ) - ほんとにmuheさんの作品大好きです!どっちと結ばれても私は幸せです笑 (2019年5月3日 0時) (レス) id: 2096cfbafb (このIDを非表示/違反報告)
きゃらめる(プロフ) - 更新頑張ってください!!!早く岸くんみたいです笑 (2019年4月26日 1時) (レス) id: 36d39b543c (このIDを非表示/違反報告)
岸担りりここ - 更新頑張ってください!続き気になりすぎてやばいです← (2019年4月18日 17時) (レス) id: eb3522528a (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - いつも楽しく読ませて頂いております!これからの展開どきどきです、、! (2019年3月29日 15時) (レス) id: 2bc4477fb2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:muhe | 作成日時:2018年11月10日 22時