ガラスの靴すら ~Yuta.Kishi~

cinderella_73 ページ25

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そんなドストレートな口説き文句が今までにあっただろうか。




廉「そのドレスさ、ずっと着て欲しかってん。取り寄せてる間に離れていってもうたから」





前のめりに頬ずえなんかついて、ずっと私を見てくる。





『ねぇ行儀悪いっ、肘立てないでっッ』





廉「やっぱり育ちええねんな」






ほんと、彼には構わない。





いつだって1枚上手で、上手く転がされてしまう。






『やる事急すぎてついていけないんだけど、』





メニュー表に目を通しながらそう伝えてみれば






廉「でも嬉しいんやろ？」





またそんな事言ってくる。






廉「分かるで？顔みてたら(笑)」




『･･うそ、っ』





廉「素直に喜べば？』






確かに、私が持っているパーティードレスの8割は全てこのブランド･･





このドレスを見た時も、イギリスの限定品だって直ぐに気付いてしまったのだ。






廉「そのブランドのドレスよう着てたやん、好きなんやろ？」




『なんで知ってんの？･･怖いんだけどっ、』






そんなに私の細かいところまで見てたんだ、と思うとちょっと恥ずかしかった。





廉「好きな女の趣味リサーチして何が怖いねんっ」






メニューを頼み終わると話はダラダラと引き続く。






『ドレス取り寄せられてるなんて知らなかったもん』




廉「好きなんやからしゃぁないやろ、つーか色味とか毎回一緒やもん見てたら好み分かるわ」






私のドレスは寒色系でシンプルなものが多い。





そういう好みをこと細かく把握しているところ･･





岸くんは私の好み、ちゃんと分かってくれてたのかな？





また自分の中で比べてしんどくなる。






『私も、一応は知ってるよ？』





廉「なにを」





『･･廉くんの、好きなブランド』






廉くんの好きな物は何となく分かるのに、、




岸くんは全然分からないんだ。






廉「、はっ？いや絶対嘘やろ(笑)」





そうやって笑う君だけど、割と真面目にそうなのだ。





『ほんとだって、前、誕生日近かったじゃん』




廉「･･え、ほんまに？」




『なんなら家にまだそのプレゼントあるけど、』





ずっと処分しようか渡そうか迷っていた。




でもこの際今のタイミングなら彼も受け取ってくれると感じたのだ。






『あげた方がいい？』




廉「欲しい」




『即答だね(笑)』




廉「当たり前やん、めっちゃ欲しいよ･･Aの事やって、･･ずっと欲しいよ」

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