シンデレラボーイ ~Yuta.Kishi~

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それから岸くんは、また学校に来始めた。






友達と笑いながら喋っている所を見て安心する。







廉「ほんま振り回すよな、お前も岸くんも」







私の隣に来た廉くんは岸くんを見ながらそうぼやく。






『廉くん』






廉「ん？」






廉くんが手を回してくれなかったら、岸くんは本当に辞めていただろう。





危機感はまだ体が敏感に覚えていて、




助けてくれた事に心から感謝する。






『･･ありがとう』




廉「おう」







ふと廉くんに目線を移せば、




岸くんを羨ましそうに見ていて･･･






廉くんって本当に誠実なんだなって思った。






だって、本当だったら嫌だろうに



わざわざ手の込んだ事をしてくれて･･







『あと』





廉「ん？」







だから、何となくで流しちゃいけないと思った。






彼の目を見てちゃんと伝えなければ。





彼の誠実さにちゃんと答えなければ、って。






『約束、護るから』




廉「約束？」






何のことか、全く覚えのないような顔をする廉くん。




だからそれをちゃんと言葉で表現するのは、少し気まずくて･･･





『もう、廉くんしか見ないから』






彼の表情を伺えば、まだ現状を把握出来てないような感じだった。






廉「･･えッ？」






焦って余裕のなくなる感じが新鮮で、ちょっと可愛いと思う。





何も、寂しくなんかない。




目の前にいる君は、私を癒してくれるはずだ。






『･･幸せに、してね』





ぎこちない口調で伝えれば、なんだか自信がなくなってしまって目を逸らす。




下を向いていると、、





廉「こっち見て」





彼の手が私の頬に触れた。





それを確かめながらゆっくり顔をあげれば




廉くんの顔はもう、すぐ目の前にあった。






決して強引な事をしない彼は、





私の事をとても見透かしている。





ゆっくりと確実に、でも私の表情を伺いながら近づいてきた彼の唇は





この時、初めて重なった。






それはすぐに離れたけど、




廉くんが余りにも色っぽい目でこっちをジッと見てくるもんだから





平常心を保つなんてなかなかな事で。





顔に集中する熱を何とか誤魔化せないかと目を左右に動かしていると




廉「はっ、なんやそれ」




君は困った顔で口元を緩めた。





廉「怒られる思うてたんに、･･あんま可愛い顔すんなや」






廉くんが幸せそうに笑ってるところを見たのは初めてだった。

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