cinderellaboy_32 ページ32
・
さっきの言葉がまだ頭に残っていて具合が悪くなる。
廉「あんなん真面目に聞いてたら頭おかしくなるわ」
それは廉くんも同じみたいだった。
ふと廉くんはどちらの味方なのかと疑問に思ってしまう。
いい加減現実を見ろと否定されて、親にチクると言われた時にはそっちの味方なのかと思っていたけど
廉「子作りする日まで決められたら溜まったもんじゃないわ」
『・・・・』
なんだか、偽りのない彼を見れている気がした。
辛いことがあった時に、私の頭を黙って撫でてくれるのが岸くんだとすれば、
目の前にいる彼は、手を引っ張ってどこまでも一緒に逃げてくれるのだろう。
そう思うと、また違った優しさに触れた。
廉「ええよ」
『へ?』
廉「俺こっそり帰るから」
部屋の窓からお父さんが出かけたのを確認して私にそう伝えてきた廉くん。
いい意味で何を考えているのか少し分からない時がある。
靴の件でもそうだったが、
君は本当に機転が利いて尊敬する粋だ。
ぼんやりと彼の自然に身についた性質や品格を分析していると
廉「あ、それともしたかった?」
君はふざけて調子を取り戻す。
『うるさい』
間髪入れずにそう返事をすれば君はもっと自然に笑った。
廉「ふっ、ちゃんと休めよ」
横を通った時に片手で頭をポンポンされた。
駄目だ・・いけない。
そう分かっていてもやっぱり癖は直らない。
いつの日かあの人に撫でられた大きな手と今撫でられた廉くんの手を、重ねてしまったのだ。
急に迫り来る儚さに一人でジッと耐えるメンタルはない。
気づいた時には、
−−−−ギュッ。
彼の袖を掴んでいた。
『・・待って、・・・・行かないで』
わざとなのか私に背を向けたままの君。
お互いの表情を見せないためにも、君はその大勢を変えなかった。
きっとこのまま、背中を貸してくれるということなのだろう。
ゆっくりと彼の背中に額を押し付ける。
廉くんの袖を掴み直して、苦しみをどこかに逃がそうと頑張るが、それが簡単にできると思ったら大間違いで
廉「俺の背中、そう安くないんやけどな」
彼は離れない私を剥がすと帰り際に言った。
廉「会いたいんやったら会えばええやん」
本当に分からない。
君は、誰の見方なの、?
cinderellaboy_33→←cinderellaboy_31
2327人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
まなみ - muheさん!この作品もめっちゃよきです!本当に好きです!!岸くん可愛い、かっこよすぎです...。これからも頑張ってください!応援してますっ! (2019年12月23日 19時) (レス) id: 0d9bac845e (このIDを非表示/違反報告)
☆pepe☆(プロフ) - とてもいいお話です!悲しい気持ちにもなりましたが、先がとても気になります(o^^o) (2018年11月13日 19時) (レス) id: 580217befb (このIDを非表示/違反報告)
彩藍(プロフ) - muheさんのお話が大好きなので、続編は凄く嬉しいです(*´`)続編も絶対に読みます!いつも素敵な作品をありがとうございます(*'‐'*)♪ (2018年11月11日 8時) (レス) id: 0a70532ba2 (このIDを非表示/違反報告)
かれん - 凄くいい話でした!とにかく涙が止まりませんでした。廉君のファンなので廉君の小説も書いてほしいです!最後の廉君が男らしくてかっこよかったです!主人公と同じ気持ちだったらメンタルズタズタです笑とても良い作品だったのでまたかいてください!面白かったです! (2018年11月11日 1時) (レス) id: 3c05e4ba15 (このIDを非表示/違反報告)
ひひひひ(プロフ) - みんな切なすぎて涙が止まりませんでした!! (2018年11月11日 0時) (レス) id: f98c1baa62 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:muhe | 作成日時:2018年7月29日 19時