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それから廉はすぐに旅立った。
君のいない一ヶ月を埋めるのは結構大変だったけれど、
頑張ってる廉を思うと自分なんてちっぽけに思えた。
紫「今日やろ?」
放課後になってみんな個々に帰る中、紫耀くんに声をかけられた。
『うん、夕方の便で帰ってくる』
腕時計に目をやればちょうどあと1時間といったところ。
ここから空港に向かえばちょうど間に合うといった感じだ。
紫「なんか冷めてへん?(笑)」
『へ?』
心配そうに言われたから素っ頓狂な顔で返事をしてしまった。
紫「いや、普通もっと嬉しくて浮かれるもんちゃうの?」
全くと言っていいほど、正論である。
こっちは待たされてる身なのだ。
早く会いたくて仕方ないのは山々だけど・・
『また廉に振り回されると思うと精々するよ』
私は当たり前のように彼にそう伝えた。
紫「ふはっ、そっか!!」
微笑む紫耀くんに笑って返した。
過ぎるのはとても遅くて長かったけど、
こうやって帰ってくる日が目の前まで迫ると、待ってた時間というのはどうも短くあっという間に感じてしまう。
錯覚というのはとても不思議だ。
学校を出て、空港に向かえばピコンッとLINEの通知音が響いた。
それは廉からのもので
" ちゃんと返事の準備しとけよ! "
そんな自分勝手な文書が送られてきた。
『はっ、なにそれ』
会う前からなんだか振り回されている感じだ。
しとくって言ったのに・・告白の宣言をされてる気分だ。
いつものように変わらぬ溜め息をついたけど、
でもやっぱり、それと同時に口元が緩んでしまった。
『ばーかっ』
私はスマホをしまうと歩く足を少しだけ早くした。
強くて頼もしくなってるかな?
逞しい人にちゃんとなれてるかな?
実はそんなに期待はしてないけど、
それでもそんな彼に会えるのを私は楽しみに待っていた。
廉、おかえりなさいっ。
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しおり(プロフ) - むへさん。数ヶ月ぶりに読み返しました。相変わらず涙が止まらなかったです。 (2020年7月23日 11時) (レス) id: 44c0badaad (このIDを非表示/違反報告)
rnrn20(プロフ) - 最初から最後まで号泣しました。最高の作品ありがとうございます!! (2019年2月17日 22時) (レス) id: e66b1301c0 (このIDを非表示/違反報告)
みなる(プロフ) - Instagramから飛んできて最初に読んだ小説がこの話で言葉の選び方とかがすごく繊細でとっても感動して読むたびに涙が止まらなかったです!これからも頑張ってください!! (2019年2月17日 3時) (レス) id: e9f4ded0ca (このIDを非表示/違反報告)
あゆみん(プロフ) - 初めて、小説で泣きました!!!ほんとに感動しました!これからも頑張ってください! (2019年1月19日 1時) (レス) id: 6942929434 (このIDを非表示/違反報告)
平野かな(プロフ) - すごく感動しました!muheさんの作品本当に大好きです!!まだ見てない作品もこれから全て見ていこうと思います! (2018年9月13日 9時) (レス) id: 0d5cee7618 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:muhe | 作成日時:2018年6月22日 17時