【d!】主役にクリスマスローズを【夢】 (ページ10)

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10.絶叫ページ10

客室に案内されて、すぐさまベッドに倒れ込む。ものすごく疲れてしまっていた。今までの怒涛の展開に耐えたのだからこんなに疲れてもおかしくはない。むしろここまでよくやったと思う。

　それにしてもこれからどうしようか。
　すぐにでも父親に会いに行きたいが、グルッペンさんの話を聞くと、どうやら私は屋敷の管理が基本で外に出されることは無いらしいのだ。逃げられる隙は当分無いと言える。

　だけど、外に出れないということは野蛮なことはさせられないと思うと少し安心だ。人が死ぬところを見れば私の意識は確実に飛んでしまうし、その際の記憶が曖昧になってしまう。

　きっと私が長い間眠り続けていたと思っている、あの時間は赤黒サンタ野郎が私の視界内で殺人行為を行っている。じゃないと命があることや脇腹の傷がほぼ塞がっていた事に説明がつかない。

　改めて傷痕を見てみると肌は気持ち悪い色になっていた。肌が白いせいで余計に痕が目立っている。

コンコン
「入るよ」
ガチャ

「きにゃぁぁぁあああっ？！」
「んべぼあﾞあﾞあﾞあﾞあﾞあﾞっ？！」

　部屋に2人の変な絶叫が響き渡る。
　だってシャツの裾たくしあげているときに真っ白な軍服着た人が入ってきたら怖くない？
　ノックしたとはいえ相手の返事待たずに入ってきたし。私は何も悪くない。

「びっくりさせないでください……」
「こっちが言いたい……」

　互いにジトォと睨み合いの末、相手の方が先にため息をついてから渋々謝ってくれた。
　見た目は怖いけれど押しに弱いのかも。さっきだって私が叫んだくらいで異常にビビっていたくらいだし。こっちはお化けでも入ってきたのかと思ったんだから。

「それで、ご要件はなんでしょうか」
「飯持ってきた」

　そう言って未開封のカップ麺を投げ渡される。続けて割り箸も飛ばしてくるので慌てて受け取った。カップ麺はともかくお箸は危ないと思うの。そもそも大事な食料を投げないでほしい。

「お湯は隣の部屋にあるから勝手に使って」
「ありがとうございます。あの、皆さんいつもこんななんですか？」

　普段インスタント食品だけで生活していたら体に悪そう。

「そういうやつもいる。俺の夕飯は鍋」

　なるほど、各自で用意するスタイルなのか。

「……お鍋、いいですね」
「一緒に食べる？」
「食べたいです」

　カップラーメンとお鍋なら断然お鍋がいいに決まっているじゃない。