【d!】主役にクリスマスローズを【夢】 (ページ8)

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8.新人教育ページ8

なんだかよく分からないままマフィアのメンバーになって数分後。

「それじゃ、新人教育を頼むゾ。コネシマ、あと大先生も」

　リーダーさんはそのままふらりと奥の間へ姿を消してしまった。それ以外の人も仕事だなんだと言って部屋に残ったのは私と、あの時出会った2人のみ。多分このサッカー青年風の人と紺髪メガネさんがコネシマさんと大先生さんなんだろう。

　2人はどこか困惑したような顔で見合ったあと、サッカー青年がため息をつく。

「はああああああああああああああああ、なんで俺がこんなめんどくさいことしなきゃアカンねん」
「それな。でもグルちゃんの命令やしここは大人しく従っとこうや」

　信じられていないにしても歓迎し無さすぎでは無いか。男所帯に花のように可憐な女の子が入ってきたんだから少しは良い反応を見せてくれてもいいのに。実際はお花みたいに儚くて脆い存在じゃないけれども。

「えっと、双葉Aです。改めてよろしくお願いします」
「おう。俺はコネシマや」
「よろしく～。俺のことは鬱先生とでも呼んどいてや」

　コネシマさんに鬱先生ね。お二人共独特な見た目をしているのですんなりと名前と顔が頭に入る。

「あの、本名ですか？」
「んなわけ。俺らはこれでも闇の組織や。身バレは怖いからコードネームで呼びあってる」

　やっぱりそうか。
　犯罪者の身元がバレると家族や友だちにも被害が及ぶ可能性があるもんな。

　そういえば、さっきは流していたけれどこの人たちの団体名はハオプトロレファミリーと言うんだよね。ハオプトロレはドイツ語で主役という意味を持つ。まさかリーダーさんの苗字がハオプトロレだとは思えないし、何か由来があるのだろう。

「なんで主役なんです？」
「さすが名門校のお嬢さん。頭がええんやな……で、なんでだっけ」
「アホか大先生。ええか、俺らは物語の主役になれる特別な要素を持っているんや！」

　主役になれる特別な要素、とは。無駄にキャラが濃いところとか？確かにあのメンツならゲームとかに登場していても違和感はない。普通に推しが出来そう。二次元だったら。

「そんな崇高な団体にボロ雑巾みたいな奴を入れるなんて、総統様は何を考えてんだか」

　コネシマさんが容赦なく私を傷つける。
　ボロ雑巾みたいって……女の子にいう言葉じゃないよな。なんでこんなに評価低いんだろ。

「せめてもう少し顔が見えたらなぁ……大先生、Aの髪切ってあげたら？」