【d!】主役にクリスマスローズを【夢】 (ページ49)

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Ⅰ.まくら争奪戦ページ49

「ありがとうございます!! 2人のおかげで私は、私は……!!」

　ボロボロと涙を流しながら頭を下げる依頼人。喜んでもらえて何よりだ。コネシマさんの人情味の無いやり方にドン引きされていないか不安で仕方がなかったけど全く問題無かったらしい。

「あの、後日ささやかながらお礼の品を送りますので、良かったら使ってください」

「ありがとうございます。それでは、また何かありましたらハオプトロレファミリーまで」

　依頼人を玄関まで見送った後、コネシマさんと一緒に夕食をとる。今回のお仕事の反省会だ。まぁ、今回はめちゃくちゃスムーズに片付いたため、反省することなんて私とコネシマさんの私語が多かったところしか無い。

　だいたい私はただのメイドなのになんで外でも仕事をしなきゃならないのだ。確かに全てを彼らに捧げるとは言ったけどさ。

「それにしても、お礼って何でしょうね」

「さぁな。届いてからのお楽しみやろ」

「まぁそうですけど。予想話に付き合ってくれたっていいじゃないですか」

　頬を膨らませて睨むが効果なし。そそくさと食事を終わらせて行ってしまった。

　……連れないなぁ。

　数日後、いつものように総統様から呼び出しをくらい、部屋に入るとダンボールを渡された。どうやら例のお礼品らしい。持ってみるとかなり軽いけれど、中身は何だろう。

　今回の仕事はコネシマさんと私なので、自室に持ち帰るわけにもいかない。とりあえずロビーで開封の儀をするか。

　早速ゾムさんと食事をしているコネシマさんを引っ張り出してダンボールを空ける。若干彼の顔色が優れないように見えるけど大丈夫かな。

　箱を開けるとそこには枕が入っていた。

「えっえっ、これって高級枕じゃないですか!! わああああ!! すごい、ふかふかですよコネシマさん」

「ホンマやな。これなら安眠出来そうや!!」

　触り心地抜群の枕にコネシマさんのテンションも爆上がりする。普段から仕事に追われている身としては安眠グッズはかなりありがたい。

「でも1つしか入ってへんな」

「えっ」

　1つしか無いと聞いて思わず真顔になる。
　なるほど、1つか……ここは下っ端の私が譲るのが筋だよね。

「お願いします、今夜だけ貸してください!!」

　枕を抱き抱えて懇願する。1度は私だって使ってみたい。あと使うなら最初がいい。コネシマさんの後ってのは少し、嫌だ。

「いや、最初はオレやろ」

　うーん……これは、戦争の予感だ。