【d!】主役にクリスマスローズを【夢】 (ページ48)

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48．貴方に確かな約束をページ48

鬱先生たちと騒ぎすぎてひとらんさんに怒られたのでそそくさと解散した私はお風呂に入るべく普通に部屋に戻り、室内に足を踏み入れた瞬間物凄い力で抱き着かれた。うわぁ、なんかいるぅ……。抵抗しても全く離す様子が無い。人の部屋入っておいて何してくれてんのよ。

「ショッピさん」
「すみませんもう少しだけ」

　珍しく謝ったことに衝撃を受けて抵抗することをやめてしまう。私の存在を確かめるように強く抱きしめ続けられると何も言えなかった。

　彼は一体どこまで本気なのだろう。愛情表現の仕方はいつもどこか冗談めいていて、こちらがちょっとあざとい行動をとってみても特に反応するわけでもなかったのでよくわからない。恋愛経験値0の年下をからかっているようにしか見えないのだ。

　でも、冗談でこんなことをしてこないのは分かる。そこに恋愛的な心があるかどうかは別として、本気で心配してくれていることは分かった。

「私、もう何処かにいくつもりはありませんよ」

「本当に？」

「本当です。新しい居場所を見つけましたから」

　絶対に離れることが出来ないような居場所を。世間からは少しずれたハグレモノたちだけの為にある恐ろしくも優しい巣穴を、私は見つけた。

　彼の背中に手を回してそっと撫でる。大丈夫、貴方達の傍にいるのが幸せだからという思いを伝えたくて。

　しばらくしてようやくショッピさんの抱擁から解放された。体温が少し上がった気がした。

　紫色の眠たげな瞳にしっかりと焦点を合わせる。何を考えているかなんて私には分からないけれど、私の思いくらいは伝わる気がして。心の機微のエキスパートである彼なら単純な私が考えることなんて簡単に見破ってしまうでしょう？

「なら、ええわ」

　安堵の表情を浮かべるショッピさんに不覚にもときめいてしまう。大人の魅力というやつか。

　なら、私は私で子供らしく彼を翻弄させてみるのが1番の仕返しなのかもしれない。

　いつかの夜にしてもらったように、手を伸ばしてショッピさんの頬に手を添える。悲しいことにギリギリ頭の後ろには手が届かなかった。

　そのまま顔を近づけて勢いよくキスをする。

　当然頭に痛みなんて走らず、唇に優しい熱が伝わるような完璧な口づけ。

「どうです？女の子からのキスも、ロマンがありますよね」

　ふふんとドヤ顔をしてみると、不思議そうな顔をしていた彼の口角がふわりと上がった。

〈終〉