46．慰め ページ46
総統様から真実を話された私は過去を恥じながらも、ひとつ気になっていることを聞いた。
「私の父親は、どうなったんです？」
「逃亡先で、追い詰められて夫婦で心中したそうだ。迎えに行くと言ったくせに、呆気なく死んでしまった。お前と同じように生きる希望を失ったんだろうな」
「そうですか」
殺されるくらいなら死んでやると言う心意気だったのかな。お母さんなら考えそうだ。まぁ、愛する人と共に死ねたのなら2人とも幸せだったのかもしれない。なら、良かったじゃないか。
もう、本当にお父さんは身勝手で、誠実で、言葉が足りなくて、かっこいい人だなぁ。両親に想いを馳せては涙があふれてくる。貴方はこの人を随分と信用していたみたいだけど、私からしたら最初から最後までずっと驚異的な存在だったんだよ。なんて人の元に託してくれたのだ。
ここに来てから毎日貴方の事を疑っていた。
本当は私の事なんて大嫌いで、気持ち悪くて、捨てたくてたまらない存在だったのではないかって。
でも、実際は違った。全部私の事を思ってくれた上での行動だったのだ。
「私、愛されていたんだ……」
「ああ。お前はきちんと愛されていた。俺も、お前のことを愛している」
その言葉だけで、私に中にある不安は消えていった。私が一番恐れていたのは死ぬことじゃなくて、誰も私を望まないことだったのだ。人一倍愛されたがりな私は、愛しんでくれる人がいるだけで満たされていく。
さっきまで総統様のことを恨んでいたことが嘘みたいだ。今じゃこの人は私にとって愛すべき存在で、この人の為に生きていいとさえ思えてくる。
藤津みのりさんも、こんな気持ちだったのかな。己の間違いを突き付けられて、理解した瞬間にとてつもない安心感を得たのかもしれない。緊張の糸がプツンときれるように。
「私も」
こんなことを言うのは人生初かもしれない。今まで好きな人も好いてくれる人もいなかった寂しい人生の中では発す機会が無さ過ぎた。だから何だか照れくさくなってしまい、すぐには出てきてくれないし、顔だって変な顔になってしまう。
今までは生きる為だけに笑ってきたけれど、今は違う。私は本気でみんなの事が好きになり始めている。ちょっとした出来事ですぐに心が変わってしまう私だけど、この気持ちは永久につづくのではないかと感じた。
「私も、愛しています」
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もちちも(プロフ) - はじめまして。お話の内容や進み方など全て好みで読みやすく思わずコメントしてしまいました（ ; ; ）これからも更新楽しみにしております。 (2019年2月16日 18時) (
レス) id: 11fc00f5c3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：泥濘ミシェル | 作成日時：2018年12月24日 21時
