【d!】主役にクリスマスローズを【夢】 (ページ45)

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45.罪人の告白ページ45

「……そうか。まぁ、とりあえず約束通りお前が縛られているあの日について話してやろう」

　意志の強い赤き目に寂しさを宿す総統様。

「最初に言っておこう。あの日お前の誘拐事件は奴が勝手に起こしたものだ。其処に関しては俺は関係ない」

　いきなり推理をぶっ壊される。ということは、本当に偶然だったのだろうか。

「あいつ等がお前を誘拐したのは単なる父親への恨みだ。最愛の娘を取り上げて同じ苦しみを与えようとしたんだろう。かつて奴はお前の父親に息子を奪われたからな」

　どういうことだ？お父さんが彼奴の息子を奪っただなんて……あの正義感が強い人がするとは思えない。

「正義感が強いせいで奪うことになったんだ、毒親だったからな。まぁそれは置いておこう。お前が誘拐された後すぐにお前の父親から連絡が来た。それがこれだ」

　ＰＣの画面を見せてもらう。そこには私の父親から送られてきたものであろうメールが映し出されていた。

『親愛なる友へ

　先程私の娘がカルシカに攫われた、助けてくれ。

　突然で申し訳ないがどうか君に最愛の娘を託したいと思う。今私が助け出したところであの子にはきっと苦しい思いをさせてしまうだろうから。

　明日、私は妻を連れて海外へいく。いつ帰ってこられるかは分からないが、帰国したら必ず娘を迎えに行く。

　だからそれまでは私の代わりに娘を守ってもらいたい。よろしく頼む』

　絶句した。

　お母さんを連れて国外逃亡っていう時点で私の知らないところで我が家で何かが起こっていたのだ。平穏にくらせていると思っていたのは私だけだったようで、実際は違ったらしい。そして、お父さんと総統様が親しい関係であった事に対しても衝撃的だった。

「簡潔に言おう。お前の母親は異能持ちでお前はその血を引いている。そしてお前の父は俺達みたいな存在に寛容で、常に政府と戦っていたせいで一部から狙われてるんだよ」

「そして、そのことは人間として普通に生きているAちゃんには知られたくなかった。だからグルッペンに託した。過保護なやつやな～」

「結局ばれちゃったけどね。しかも変な誤解を植え付けてかなりのダメージを受けてさせているし」

「正直、カルシカの潜伏能力は半端無くてな、生存している姿を見たときは奇跡だと思った」

　あの時を見たときを思い出したのか総統様の口が嬉しそうに歪む。本気で私を愛おしんでくれているような顔をする。

　嗚呼、私達はなんて馬鹿なんだろう。