【d!】主役にクリスマスローズを【夢】 (ページ39)

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39.憂鬱と優しさと純愛とページ39

見張りつけていいから外に出せって騒いだら、何故かトントンさんとショッピさんとグルッペンさんと私の4人で行くことになった。なんだこのメンツ。胃がモゾモゾするわ、せめてエーミールさんか鬱先生がいて欲しかった。

「ここのショッピングモールでええか？」
「はい。ありがとうございます」

　地元からはだいぶ離れた所にあるショッピングモールまでやって来た。知り合いに会わせない為だろう。

「それじゃ、これ」
「……スマホだ。懐かしい」

　毎日のように触っていたのに、今じゃそれがとても懐かしく感じる。わー、時計とメッセージアプリしか入ってない。でも、なんで今更スマホなんて渡してきたんだろう。

「何かあったらそれで連絡してな。すぐに駆けつけるから」

　すぐに駆けつけるからって、そんなの一緒にいれば連絡する必要も無いのに。どうしてわざわざ……あっ、もしかして

「別行動していいってことですか？！」
「なんでAと離れなきゃいけないんすか？」
「む、ついて行ってはダメか」

　三者三様の反応にトントンさんの顔が引き攣る。車の中で3人一斉に大声出したから耳が痛いのかも、ごめんなさい遠慮なくて。

「Aだってプライベートな買い物があるやろ。俺らは念の為に各階で待機」

　トントンさんの気遣いが身に染みる。コネシマさんじゃ無くてこの人が上司だったら良かったのに。

　絶対にいいプレゼント買ってあげるからね！

　とりあえず上の階から全部回る派の私はショッピさんと一緒にエレベーターで最上階まで上がる。

　彼は身のこなしが軽いから最上階を担当することになったのだ。ただ、それだと2人で移動する訳で……一瞬とはいえ油断ならない。

「A」
「なんですか」

　ほらぁ、絡んできた。

「シャオさんと寝たって本当ですか？」
「本当ですけどな……痛い！なんで味方に首を絞められなきゃいけないんですか？！」
「俺好きな人の首は絞めたいタイプなんですよね」

　どんなタイプだよ！そんなに力込められてなかったからすぐに振り解けたから良かったものの、もう少し強かったら跡ついてたよ。ありえない。

「あのですね、いい加減私で遊ぶのやめてくれませんか？」
「嫌だ」

　嫌だ、って子どもじゃないんだから。絶対この人より私の方が精神的に大人な気がする。私より優位なところって恋愛面と体力だけじゃない？いや、それは無いか。

　沈んだ気分でエレベーターを出る。早くこくらい気分を何とかしよう。