【d!】主役にクリスマスローズを【夢】 (ページ36)

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36.優しい夜を君にページ36

安心しきった顔ですやすやと眠るAを眺めながらシャオロンはため息をついた。

　Aはシャオロンたちと出会った時に比べてものすごく綺麗になっていた。まだ2ヶ月も経っていないのに肌は潤い、髪も艶やかで体つきも女性らしくなっている。

　これは若さによるものなのか、それとも彼女の能力によるものなのか、シャオロンには判断がつかない。どっちにしろ回復が速いのは素直に羨ましい。

「こりゃグルッペンが惚れ込むのも分かるわ……」

　しっかりと握りしめては離さない小さな手を撫でながら呟く。

　ハオプトロレファミリーのボスであるグルッペンは何故か出会った時からAに対して深い愛情を注いでいる。時に彼女に本気で恋をしているのじゃないかと疑うほどに。

　メンバーに対して毎日のように「俺のAに手を出すんじゃないぞ」的なニュアンスの言葉を吐いているのを聞いて、最初の頃のメンバーたちは彼は物好きなんじゃないかと疑っていたが、今ではAに好意を抱いているものがほとんどだ。

　それくらい双葉Aとは魅力的な存在だった。自分のことを堂々と可愛いと言えるくらいに。

「ん……」
「起きたか？」

　反応は無い。まだまだ眠っていそうだ。

　これから鬱先生と飲む予定だったな、とシャオロンは今後の予定を思い出す。つまらない用事ばかりで重要な仕事はゼロだった。

　そんな事のためにこんなにも弱々しい手を離すなんて馬鹿野郎のすることだ。すっぽかしてやろう。

　シャオロンはAの寝顔を眺め、次第に自分も微睡み、深い眠りに落ちていった。