【d!】主役にクリスマスローズを【夢】 (ページ4)

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4.地獄の門よ、開いたりページ4

人は死ぬと穏やかな場所に連れていかれるとおばあちゃんは言っていた。

　だけど私がいる場所は煌びやかなシャンデリアが吊るされた豪華絢爛な部屋だ。おまけに机には金髪の閻魔大王みたいな奴が座っている。
　地獄に落ちるようなことをした覚えは無いのだが天国に行けるほど善良な人間だったわけでも無いので大人しく目覚めた場所で様子を見る。

「グルちゃんあの子の資料持ってきたでー」

　倉庫で出会った紺髪の男が奥の扉から入ってきた。あの子、とは私のことか。あそこに書かれている内容でこの後私がどうなるかを決められるのだと思うと恐ろしい。奪い取ればさらに状況悪化しそうだから何も出来ないけれど。

　くるりと椅子が回って鋭い赤眼と目が合う。閻魔大王と言うよりは吸血鬼みたいな印象を受ける。どっちにしろ人間、ましてや日本人には見えないからここは死後の世界なのだろう。

「双葉A、聖蘭高校1年……今は2年か」
「聖蘭って頭良い貧乏ばっかいる名前負けの学校やん。すご」
「お前資料読まないまま持ってきたのか？」

　"聖蘭高校1年、今は2年"という言葉に引っかかる。今は2年ってことはすでにあの悲しみのクリスマスから短くとも3ヶ月以上は経っているというわけであり、私はあの場所で3ヶ月近く眠りこけていたことになる。

　なんで生きていられたんだろう。

　まぁどっちにしろ今は死んでいる身だ。私の人並みならぬ生命力は結局活かされなかった。むしろあの時すでに死んでいて、1度目のお迎えだったのかもしれない。今回ようやく私の審判の番が回ってきたということか。そりゃそうだよね。じゃないと紺髪さんがここにいるのにあそこでも出会えるわけが無いし。

「うむ。体調の方はどうだ？」
「ぁ…………ゴホッゴホッ」

　声を出そうとすると喉に激痛が走る。死人に口なしとはいえここでは話せなきゃ意味無いんじゃない？なに、すでに末路は決まってるから喋るなってこと？それなら質問しないでいただきたい。

「どうやら声が出ないみたいだな」
「これは一旦ペ神のとこ連れていくべきやな。今日呼び出して来れるかなー、最悪クラレ先生のとこに行かすか」
「それがいいな。すまないA、しばらくはここでゆっくり休んでくれ」

　随分とお優しい閻魔様だ。
　できればもう成仏してしまいたいところだけれど……。というか早く天国行きか地獄行きか決めてほしい。

　翌日、私は病院らしきところでようやく自分がまだ生きていたことを知った。