23.決戦準備 ページ23
目を覚ますと鏡台の上にはたくさんの化粧道具、隣には品のいいドレスが吊るされていた。
あぁ、来てしまったよついにこの日が。
昨日の昼食後のショッピさんはいつも通りに戻っていて、時折迫ってきたり罵ってきたり自由に私の周りをうろちょろしていた。お互い、情緒不安定な状況なのかもしれない。気にしないでおくのが得策でしょ。
慣れない手つきで化粧をし、髪を編み込んで、ドレスを着用する。そうして完成した私は普段の可愛いメイドの印象からはかけ離れていて逆に不気味だった。久しぶりのお化粧で不安だったけど素が良いからね、なんとかなってるよ、うん。
「Aちゃん入ってええ？」
「鬱先生？ どうぞどうぞ」
鬱先生は部屋に入って私を視界に入れた瞬間固まった。あれ、もしかして変なとこあるのかな。鏡で入念にチェックしたはずだけど。
そっと肩を叩くとフリーズしていた鬱先生が動き出す。頭のてっぺんから爪先まで舐めまわすように見たあと、ため息を漏らす。何よその反応……怖い。
「手助けはこれだけで充分みたいやな」
そう言って2枚の紙を差し出してきた。用紙にはショッピさんの熱狂的ファンについての情報が記載されている。もっと早く欲しかったけど文句は言っていられない。欲しいって言わなかった私も悪いし。
「あの、鬱先生」
「ん？」
「この姿、おかしくないですか？」
ガキが無理矢理背伸びしているように見えていないだろうか。歳上の女性とタメ張れるくらいの魅力があるのだろうか。そういう不安をかき消して欲しくて鬱先生を見つめる。自分の言葉だけじゃ拭いきれないから。
「普段あれだけ自分のことかわええ言うとるのに、なんで今日は自信無いん？」
なんで毎日自分可愛いって思っていることバレてるんだろう。コネシマさんか？ コネシマさんだな、後で覚えてろ。
「とっても魅力的やで、このまま俺の彼女にしちゃいたいくらい綺麗や」
その言葉に少し頬が熱くなる。「じゃあ彼女にしてください」って言いたくなるほど今の鬱先生がかっこよかった。私もこんな人を演じられるようになりたい。
そうか、今日の私は可愛いんじゃなくて綺麗なのか。さっき不気味に感じたのは精神年齢と見た目の釣り合わなさからきたのかもしれない。
「ありがとうございます鬱先生。私ショッピさんの彼女として頑張ります」
「おう」
「上手くいったらご褒美にデートしてくださいね？」
「おう……ってええの？」
「いいんです」
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もちちも(プロフ) - はじめまして。お話の内容や進み方など全て好みで読みやすく思わずコメントしてしまいました（ ; ; ）これからも更新楽しみにしております。 (2019年2月16日 18時) (
レス) id: 11fc00f5c3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：泥濘ミシェル | 作成日時：2018年12月24日 21時
