【d!】主役にクリスマスローズを【夢】 (ページ18)

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18.少女漫画的展開ページ18

ショッピさんは現在熱心なファン(比喩)に悩まされている。最近では毎日のように付き纏われ、仕事に支障をきたすレベルですごいらしい。

　そこで私が彼女を何とかして欲しいと総統様は言いやがった。なんと抽象的な命令なんだ。なんでもするなんて言わなければよかった。

「向こうも恋人がいると分かれば案外すぐに冷めるかもしれないだろう」

　要するにショッピさんの彼女のフリをして諦めてもらおうという魂胆らしいが、私彼に会ったのほんの数時間前なんですよね。お決まりの展開にしたって酷すぎる。絶対上手くいかない。

「あの、Aさん大丈夫？」

　あまりにも私の態度が悪かったのかエミさんが心配してくれた。全然大丈夫じゃないけれど今の気遣いで少し心が落ち着いたわ。やる気は出ないけど。

「ちょっと無理かもしれ……ﾔﾗｻｾﾃｲﾀﾀﾞｷﾏｽ」

　目の前でショッピさんの不機嫌オーラがぶわっと増したので慌てて承諾する。断ってたら死んでいたと思えるくらい彼の気迫はやばかった。

　美味しかったはずのグラタンは砂みたいな味になっており、完食するのに時間がかかった。その間も3人は仕事のお話で盛り上がっていて、私の頭はただひたすら混乱しているばかりだった。解せぬ。

「次に奴に会うのは明明後日。それまでになんとか恋人っぽくなっとかないとですね」

　食事を終えて、現在自室にてショッピさんと2人きり。ショッピさんがなんの躊躇いもなくひとつだけの椅子に座ったため私は床にクッションを敷いて正座をしていた。

　恋人っぽいことって……どんなことすればいいんだ？

　何せ今まで恋という恋をしたことが無い。

　異性から見た目を褒められたことは何度もあるけどお付き合いを申し込まれたことなんて一度もないのだ。周りはどんどん結ばれているのに何故か私には恋焦がれる人も恋焦がれてくれる人もいなかった。そう考えると悲しい学生時代を送っているな。

「とりあえず目の前でキスとかすれば認めるかな」
「ゴホッゴホッ、正気ですか？！」

　怠そうな顔で爆弾発言をしてくるので盛大にむせてしまった。恋愛経験0の私が恋人でも無い人とキスとかハードルが高い。どうしてここの人達は無理難題を唐突にふっかけてくるのだ。全部口に出せば叶うとでも思っているのかな。

「なに、キスしたこと無いの？」

　気だるげな瞳に若干光がやどるショッピさん。

　嫌だ、この人楽しみ始めてる……！