【d!】主役にクリスマスローズを【夢】 (ページ13)

今日:20 hit、昨日:1 hit、合計:11,601 hit

13.前途多難ページ13

結局魔法についてはよく分からなかったが、私の生存願望がより強くなったあの夜。私はメンバーの中で1人くらいは協力者を得るべきだと考えた。
　生きてマフィアから脱退させてもらうことは無理でも、父親の情報を集めてもらうことは可能だろう。上手く事を運べば会わせてもらえるかもしれない。そしたら私は心置き無くここから出られるし、殺されてもそこまで悔しいと思わないはずだ。

　総統様と鬱先生に関しては、初めて会った時に書類があったから既に私の身の回りの情報を掴んでると思う。確実なのはその2人に取り入ることだけど……出来る気がしない。

　絶対大人っぽいタイプが好みだと思うから。

　私は可愛いけれど大人っぽさに欠けている。同年代と比べればいけるかもしれないけれど、ガチの大人と比べられたら惨敗だ。加えて今の私には昔よりも胸が無い。全身の筋肉と脂肪がとことん落ちてしまっているからマジで顔でしか勝負が出来ない。

「顔はこんなにも可愛いのに」
「性格がてんでダメやもんな」
「コネシマさんなんでいるんですか？！」

　しかもこんなタイミングで。あまり親しくない人にナルシストモードを見られるのはなかなかキツい。違う、私はナルシストじゃないんだよ。ただ、定期的に自分のこと褒めないと病んじゃうんだって！そう、これは心のメンテナンスなのだ。たまに顔以外褒められるところがなくて逆に落ち込むこともあるけど。

「考え事は終わったか？俺はお前に仕事を教えに来たんや。とっとと準備せえ」

　そう言って仁王立ちするコネシマさん。待っててくれているのは有難いがそこにいると着替えられない、という意思を視線で訴えてみても彼は微動だにしない。

「5分で終わらせます。だから出てってください」

　返事など待たずに彼を部屋から追い出して、早速クローゼットを開ける。そこには見慣れた制服と、今とは別の寝巻きと、いつ使うのか分からないパーティードレスと、メイド服が入っていた。

　待って。5分で支度すると言ったけどこれは待ってください皆様方。

　どれを着ろと言うのですか。寝巻きとパーティードレスは論外として残ったのは制服とメイド服。こうなると制服も何故かコスプレ衣装に見えてくる。

　とりあえず制服を着て出ると「仕事する気あるのか」と怒られた。これ以外まともなのが無いと返すとコネシマさんはクローゼットを覗き込み、一言。

「グルッペンのとこ行くか」

　メイド服は彼も予想外だったらしい。