3-40.ぶりっ子ちゃんの出陣 ページ41
情報の教室は、いつも程良く空調が効いている。けれど今日だけは、どんなに心地良い冷風に撫でられても、この熱のこもった体を冷ませなかった。
背中を向けたパソコン、パソコン。
クラスメイトの顔、顔。
わたしの前で、不気味なくらい行儀良く並んでいる。
後ろはプロジェクターと、真っ白のスクリーン。あとはこの手に持ったリモコンを押すだけで、わたしたちの作ったスライドショーが始まる。
先生がわたしたちに最終確認をした。静かに頷いた。すると、喧騒がみるみる消えていく。あとに残るのは、発表特有の空気。心細げに早打ちする心臓に、緊張感と切迫感を植え付けてくる。
でも、気負う必要はない。わたしたちは、わたしたちなりの答えをみんなに伝えるだけだ。発表なんて大仰なものじゃない。そうして少しだけ湧いていた勇気を半分こしたくて、隣の蘭ちゃんの腕に触れた。案の定顔色を悪くしていたが、わたしがあざとくウィンクしてみせると、緊張が解れたような微笑みを向けて頷いてくれた。
田山君、志真崎さん、そしてみんなをしっかり見てから、わたしは口を開いた。
「わたしたちは、ぶりっ子について調べました。突然ですが、みなさんはぶりっ子をどう思いますか？ そもそも良い意味で使う言葉ではないので、好意的には捉え辛い、という方が多いと思います。では、ぶりっ子はどうして好かれないのか、どんなところがいけないのか、意識調査などを元にしつつ、一周回って許せるぶりっ子について考えていきます」
声のトーンだけ上げて、語尾は伸ばさず、甘さ控えめ。これならぶりっ子らしさとプレゼンらしさを両立出来ているはず。
「最初に、ぶりっ子の特徴を取り上げていきたいのですが、まずはこちらの動画をご覧ください」
端に寄ってから、リモコンのボタンを押す。すると、薄桃色の私服姿のわたしがスクリーンに現れ、ももえがおで手を振った。みんながざわつく。
「こんにちはぁ、世界一可愛いもえたんです〜♡ 好きな食べ物はわたあめ、好きな飲みもも……あ、噛んじゃった、てへ♡ 好きな飲み物はいちごみるくです♡ ……きゃーっ！ あそこにハエさんが！ A太郎く〜ん、もえたん虫こわ〜い♡」
フリー素材のハエに大げさに驚き、フリー素材の男性マネキンに抱きつく画面のぶりっ子。その馬鹿馬鹿しさに失笑する人がちらほら。心なしか、みんなの意識が一層わたしたちに向けられた気がする。
掴みは成功か。
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やま(プロフ) - 面白いです、笑っちゃいました。 (2021年9月19日 13時) (
レス) id: 0eb68c7075 (このIDを非表示/違反報告)
無気力に自信が有る人 - あ、真白と同一人物です！ (2021年7月25日 17時) (レス) id: 19b8beddf0 (このIDを非表示/違反報告)
無気力に自信が有る人 - 思わず笑っちゃいました！しかも、なんか余計にクラスの人に�猜僂陛朖瓩辰道廚錣譴修Δ覆海箸鬚錣兇錣供帖帖帖帖�この小説凄く面白いです！ (2021年7月25日 17時) (レス) id: 19b8beddf0 (このIDを非表示/違反報告)
豆の字(プロフ) - 真白さん» ぶりっ子についてプレゼンする人なんてそうそういないですよね（苦笑） (2021年7月16日 18時) (レス) id: dee9e908a6 (このIDを非表示/違反報告)
豆の字(プロフ) - Rukia (ゆっくりゆる)さん» ありがとうございます！！一人一人の登場人物をこんなに丁寧に見てくださって本当に嬉しいです！（いつか名前も覚えていただければ大変恐縮です！）りうむちゃんのことも好きになってもらえて嬉しいです、ぜひ推してあげてください！ (2021年7月16日 18時) (レス) id: dee9e908a6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：豆の字 | 作成日時：2019年12月7日 15時
