3-20.ぶりっ子ちゃんの深淵 ページ21
「あ、ありがとう、見せてくれて……！ あのね、実は特徴を調べてる最中に、ぶりっ子を多く扱った創作サイトを見つけたんだけど……」
「え、なになに？ 教えて教えてぇ〜♪」
あざとくおねだりするが、蘭ちゃんの眼鏡の向こうの目が曇っている。さっきと同じ様子だ。わたしが傷つくのを恐れているような、そんな躊躇い。
心配ない、へっちゃらだと頷きかけると、眉に不安を残しつつ蘭ちゃんは答えた。
「えっと……『くまさんのホロスコープ』っていう……」
耳慣れない名前をたどたどしく打ち込む。一番上に出てきたURLをクリックすると、デフォルメされたクマの絵のトップ画面が現れた。
「夢小説？ っていう、特定の登場人物の名前を読者が自由に設定出来る小説を書けるサイトみたい……。あと、他にも検定とかフローチャートとか脳内メーカーとか、色々作れるんだって」
「ほえ〜！ もえたん、全然知らなかったぁ♡」
今ひとつ勝手が分からないが、とりあえず検索欄に「ぶりっ子」を入力してエンターキーを押してみた。
検索に引っかかった作品が並ぶ。それをスクロールしていった。
…………。
わたしはようやく理解出来た。隣の蘭ちゃんがうつむいている理由を。
『ぶりっ子を退治しよう！』
『あなたはぶりっ子を成敗することが出来るか！？』
『あなたVSぶりっ子！』
『ぶりっ子をやっつけろ☆』
敵意。侮蔑。憎悪。ぶりっ子への負の感情が画面を支配した。検定の内容はどれも同じようなものだった。みんな、言葉を尽くしてぶりっ子を罵って溜飲を下げることに帰結している。毒を持った選択肢を避けると、容赦なく不合格を言い渡してくる検定も少なくなかった。
『おめでとうございます！ あなたはぶりっ子を倒すことが出来ました！』
不承不承作成者の意図に従えば、みんなこうだ。高得点が出てもわたしはちっとも嬉しくなれなかった。
そのまま、感想欄へとスクロールした。「流石に言い過ぎではないか」「ここまで忌み嫌う必要はないのでは」などというささやかな擁護がひとつでもあれば、わたしは救われる気がするのだが――。
『合格でした！ やったー！！』
『すっごく楽しかったです！』
『スッキリした！ ぶりっ子なんて大嫌いだ！』
『ぶりっ子ざまあ』
ぐら、と軽くめまいを覚えて、
ああ……。
そんなもの、ここにはないんだ。
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やま(プロフ) - 面白いです、笑っちゃいました。 (2021年9月19日 13時) (
レス) id: 0eb68c7075 (このIDを非表示/違反報告)
無気力に自信が有る人 - あ、真白と同一人物です！ (2021年7月25日 17時) (レス) id: 19b8beddf0 (このIDを非表示/違反報告)
無気力に自信が有る人 - 思わず笑っちゃいました！しかも、なんか余計にクラスの人に�猜僂陛朖瓩辰道廚錣譴修Δ覆海箸鬚錣兇錣供帖帖帖帖�この小説凄く面白いです！ (2021年7月25日 17時) (レス) id: 19b8beddf0 (このIDを非表示/違反報告)
豆の字(プロフ) - 真白さん» ぶりっ子についてプレゼンする人なんてそうそういないですよね（苦笑） (2021年7月16日 18時) (レス) id: dee9e908a6 (このIDを非表示/違反報告)
豆の字(プロフ) - Rukia (ゆっくりゆる)さん» ありがとうございます！！一人一人の登場人物をこんなに丁寧に見てくださって本当に嬉しいです！（いつか名前も覚えていただければ大変恐縮です！）りうむちゃんのことも好きになってもらえて嬉しいです、ぜひ推してあげてください！ (2021年7月16日 18時) (レス) id: dee9e908a6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：豆の字 | 作成日時：2019年12月7日 15時
