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「……分かった」
キス一つでこの状況が打破されるなら耐えられる。
覚悟を決めて、目を瞑ってキスを待つ。
ふにりと唇が重なったかと思えば、かしゃり、シャッター音が聞こえた。
音のした方を見れば、カメラを起動させたスマホが私たちのキスを撮していた。
「え……？」
「綺麗に撮れとるやん」
満足げに写真を見るシャオロン。待ってよ、写真を撮るなんて聞いていない。
「これでみんな俺とAが付き合ってると思うやろ」
「ちょっと！」
嘘つきはどちらだ、キスだけって言ったのに。
「なに？」
「キスだけっていう約束でしょ。写真は駄目、消して」
シャオロンは目を細め、口を歪めた。煽るときの顔だ。
「Aがそれを言える立場やないやろ。妥協してやってる俺にそんな態度をとるん？」
それを言われると私は歯噛みしかできない。
「分かったならキスするで」
「は？」
どういうことだ。口に出す前に再びシャオロンの唇が私に触れる。
ちゅ、なんてかわいらしいリップ音と同時に聞こえてくるシャッター音。
抵抗しようとしたら後頭部を押さえつけられ、噛むようにキスをされる。
息継ぎのために思わず口を開く。それを待っていたかのように舌が侵入してきた。
しまったと思うも遅い。好き勝手に暴れる舌に私の口内はぐちゃぐちゃにされる。
シャオロンが離れる頃には既にくたくただった。
体重を壁に預けてやっと立てる私を見て、シャオロンはまたシャッター音を鳴らした。
「嘘つき！ キスしたのに、なんでまた……！」
「誰も一回で許すなんて言うてへんわ」
だからってこんなのが罷り通るはずがないだろう。
睨み付ける私の視線もどこ吹く風でシャオロンはスマホをいじる。
「ところで、Aは恋人以外とキスはせえへんよな」
「……何が言いたいの」
「言葉のままや」
そう言ってシャオロンはスマホの画面を見せてきた。画面にはグループトーク、シャオロンと私がキスしている写真が送られていた。
「別に俺は付き合わなくてもええんやけど、そうするとAは付き合ってもない男とキスする女だと思われるかも」
「……それはお互い様じゃないの」
「俺はどう思われても困らへんから」
体裁というものをあまり気にすることがないシャオロンにはノーダメということか。そして人並みに他人からのイメージを大事にしたい私には効く方法をとられた。
「……シャオロン」
「なに？」
「つ、付き合おう」
シャオロンはスマホをしまった。
「おん、よろしく」
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脳内お花畑(プロフ) - ざらめさん» ありがとうございます！お褒めのお言葉嬉しいです！赤いくつの続きですね！お時間いただきますが是非書かせてください！！ (2020年12月10日 2時) (
レス) id: 1816461051 (このIDを非表示/違反報告)
ざらめ - あの、凄く好きです！どのお話しも内容が深くて、展開が読めずいつもドキドキしながら読ませて頂いてます！中でも「赤いくつ」が大好きなのですが、もしよろしければ続きを書いて頂けないでしょうか...？長々と申し訳ありません。これからも応援しています！！ (2020年12月10日 0時) (レス) id: e42013c8e8 (このIDを非表示/違反報告)
脳内お花畑(プロフ) - 森安里さん» コメントありがとうございます！狙い通りぞわってなってもらえたようで良かったです！！お褒めの言葉嬉しいです！！ (2020年11月19日 18時) (レス) id: 1816461051 (このIDを非表示/違反報告)
森安里(プロフ) - 蛇足で鳥肌が立ちました。最高です。ありがとうございます! (2020年11月19日 16時) (レス) id: 0d0cef0762 (このIDを非表示/違反報告)
脳内お花畑(プロフ) - Qさん» ありがとうございます！！掛け持ちをしているので更新頻度はあまり高くないのですが、どうぞよろしくおねがいします！ (2020年9月27日 21時) (レス) id: 999cc5b25a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：脳内お花畑
| 作成日時：2020年9月26日 15時
