嘘吐き ページ8
「お母さんにもし何かが起こってたらって考えたらすごく怖いんです。だから今すぐに会いに行きたい。でもどれだけ頼んでも風紀委員の先生は許してくれなくて……」
「まあ、そうだろうなぁ」
「ッ私、もうこんな思いし続けるのは耐えられません……！ 」
わあっと涙腺が決壊したように膝に顔をうずめ女子生徒は泣き出した。今まで我慢していたのだろう。不安や恐怖に苛まれ、そんな時手紙で温かい言葉をかけてくれ支えとなってくれていたはずの母親は音信不通。唯一の救いがなくなり自分が思っている以上に彼女は参っていたのだろう。
相楽はその話を聞き、ある案を思いつく。
「じゃあ、オジサンが確認しに行ってやろうか」
「へ？」
「教員は学園の外に出られる。丁度明日外行こうと思ってたし、ついでにお前のカアチャンにも会って来てやるよ」
本当は一日中自室で寝て過ごす予定だったが仕方がない。偶には良いだろう。そうして母親の安否を確認して本人に伝えれば、結果はともかく彼女は終わりのない不安や心配からは解放される筈だ。後は提案を彼女が受け入れるかどうか。実際に自分が会えるわけではないから、文句は出て来そうだが……。
「え、良いんですか……？！」
けれどそんな心配は杞憂だったようだ。
「いいぜ。住所教えてくれりゃあ行けるし、もし渡したい物あんなら持ってってやる」
「あ、ありがとうございます！！ えっと手紙と、これも渡してください！」
「おお、こりゃあお守りか？」
「はい！ 作ったんです、お母さんが元気でいられますようにって願いを込めて」
さっきまでとは打って変わって笑顔を浮かべる女子生徒。その表情は母親への愛情で満たされていた。少し形が歪で、けれど手作りにしては丁寧に出来ている小さなお守り。世界に一つしかない娘の想いが詰まったお守り。
「……」
嬉しそうな彼女の脳内には恐らく、�犧念�の可能性�瓩覆鵑道廚ど舛�れてもいないのだろう。
「すげぇな。これ貰ったらきっと、お前のカアチャンも飛び跳ねて喜ぶだろうさ」
「えへへ……よろしくお願いします！」
けれどその可能性を伝えて彼女をまた不安に晒すほど相楽は外道ではない。
頭を下げる女子生徒にひらひらと手を振り、寮に向かって歩き出す。そして生徒の視界から外れたところで相楽は零した。
「……さ、オジサン頑張っちゃいますか！」
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●龍●(プロフ) - そのためならいくら責め立てられようと構わない。そういう考えなのです…。文字制限で削ってしまった部分でもあったので、怜皇様が察してくださってとても嬉しいです…！！ (2018年8月14日 11時) (
レス) id: 5b64b63f06 (このIDを非表示/違反報告)
●龍●(プロフ) - 怜皇さん» わーまたまたコメントありがとうございます！！ そうなんです、相楽の嘘は将来気づかれ責められたり憎まれてりしてしまうもので、けれどそれを覚悟の上で嘘を吐いたのです。今女子生徒が絶望に落ちるよりも、笑顔でいる方がいい。 (2018年8月14日 11時) (レス) id: 5b64b63f06 (このIDを非表示/違反報告)
怜皇(プロフ) - わっわっそんな相楽さん(´；ω；`)相楽さんが女子生徒の笑顔を守るために嘘をつくところ、すごく心痛みました…卒業して外に出るようになった生徒に攻められ恨まれる可能性だってあるのに…相楽さん(´；ω；`) (2018年8月13日 21時) (レス) id: 0ed6205140 (このIDを非表示/違反報告)
●龍●(プロフ) - 怜皇さん» 怜皇様はどう思われるだろうか…と不安でした。なのでこうしてわざわざ来てくださり感想を伝えてくださった怜皇様の心遣いがとても嬉しいです！！リズィーさんと相楽と、そして怜皇様と作り上げた素敵な関係が表現できていたなら良かったです…！ (2018年8月11日 22時) (レス) id: 5b64b63f06 (このIDを非表示/違反報告)
●龍●(プロフ) - 怜皇さん» わわわ怜皇様じゃないですか…！！こんばんは、早速見てくださりありがとうございます…！！こんなにもたくさんお褒めいただき、光栄であると共に本当に心から嬉しいです！今回は前話より更にリズィーさんを大胆に動かしてしまったような気がしたので、 (2018年8月11日 22時) (レス) id: 5b64b63f06 (このIDを非表示/違反報告)
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