嘘吐き ページ7
「……っふ、ぅう」
あの友人の話によると、女子生徒は数日前に突然「ここから出たい」と言い出したらしい。それまでそんなことを言っていたことはなかったので驚き、しかも表情がかなり切羽詰まっていたため友人もこれは只事ではないと察知し理由を聞いた。だが帰ってきたのは「お母さんに会いたい」「帰りたい」という答えにならない返事と嗚咽で、原因を知ることもできず、更には放っておいてとまで言われ困り果てていたのだと。
ただのホームシックという可能性は低い。なら帰りたいと思わせる何かがあった。そしてそれは母親関係のことだ。そこまで見当をつけて相楽は生徒を探し学園内を歩き出し、予想より早く生徒は見つかった。あまり使われない階段の近くにある掃除用具箱の陰。そこに座り込んでいたのだ。
「おーい、大丈夫かー」
「っ？！ せ、せんせ、」
「おう、さっきぶりだな。というかそんなに顔濡らしてどうしたよ」
「……いえ、なんでも……ないです」
「本当にそうならいいんだけどさ。オジサンにはそうは見えねぇんだよなぁ」
「……」
「どうだ、ちょっとオジサンに話してみねぇか？ もしかしたら何か力になれるかもしれねぇぞ？」
女子生徒は相楽に気づくと慌てて涙を拭い、嗚咽を噛み殺す。自分を見上げるその瞳に怯えの色が混じっているのを感じ取り、相楽はあまり近寄らずに距離も開けて横の壁に寄りかかった。身長や顔のこともあり怖がられやすいのは自覚していたので、できるだけ柔らかい声で話す。煙草を吸いながら緩やかな空気を作る。
すると女子生徒はか細い声で吐露し始めた。
「私ここに来てからずっと、毎日欠かさずお母さんと手紙でやり取りしてたんです」
「うん」
「でも一週間前から突然その手紙が途絶えたて……今までそんなことなかったのに。……それに、お母さんは昔から体が弱くて、最後に来た手紙にも最近調子が良くないって書いてあったから」
「何かあったんじゃねぇかと心配してるんだな」
「……はい」
女子生徒はせっかく涙が止まった瞳をまた潤ませて唇を噛む。そしてこれまでで一番苦しそうに言葉を絞り出した。
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●龍●(プロフ) - そのためならいくら責め立てられようと構わない。そういう考えなのです…。文字制限で削ってしまった部分でもあったので、怜皇様が察してくださってとても嬉しいです…！！ (2018年8月14日 11時) (
レス) id: 5b64b63f06 (このIDを非表示/違反報告)
●龍●(プロフ) - 怜皇さん» わーまたまたコメントありがとうございます！！ そうなんです、相楽の嘘は将来気づかれ責められたり憎まれてりしてしまうもので、けれどそれを覚悟の上で嘘を吐いたのです。今女子生徒が絶望に落ちるよりも、笑顔でいる方がいい。 (2018年8月14日 11時) (レス) id: 5b64b63f06 (このIDを非表示/違反報告)
怜皇(プロフ) - わっわっそんな相楽さん(´；ω；`)相楽さんが女子生徒の笑顔を守るために嘘をつくところ、すごく心痛みました…卒業して外に出るようになった生徒に攻められ恨まれる可能性だってあるのに…相楽さん(´；ω；`) (2018年8月13日 21時) (レス) id: 0ed6205140 (このIDを非表示/違反報告)
●龍●(プロフ) - 怜皇さん» 怜皇様はどう思われるだろうか…と不安でした。なのでこうしてわざわざ来てくださり感想を伝えてくださった怜皇様の心遣いがとても嬉しいです！！リズィーさんと相楽と、そして怜皇様と作り上げた素敵な関係が表現できていたなら良かったです…！ (2018年8月11日 22時) (レス) id: 5b64b63f06 (このIDを非表示/違反報告)
●龍●(プロフ) - 怜皇さん» わわわ怜皇様じゃないですか…！！こんばんは、早速見てくださりありがとうございます…！！こんなにもたくさんお褒めいただき、光栄であると共に本当に心から嬉しいです！今回は前話より更にリズィーさんを大胆に動かしてしまったような気がしたので、 (2018年8月11日 22時) (レス) id: 5b64b63f06 (このIDを非表示/違反報告)
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