化け物が九十二匹。 ページ5
「クソ！！クソがァ！」
無我夢中で走る、走る、走る。
途中何回かコケそうになったが、足は止めなかった。
頭ん中がぐちゃぐちゃだ。
夢の中の母さんは、最後に俺を化け物って言った。
母さんが言ったんだ、間違いない。
俺は化け物なんだ。
なのに。
そのはずなのに。
アイツは違った。
俺がいくら俺を化け物っつっても、アイツは俺をそう呼ばなかった。
それどころか俺の中の化け物を殺すとか言い出して、俺の包帯を燃やした。
化け物が俺の中にいるんじゃねェ、俺自体が化け物なんだ。
包帯燃やしたぐらいで何が変わるんだよ。
意味わかんねェ。イかれてやがる。
そう思って怒鳴ろうとしたら、アイツはクソワカメの話をし始めた。
クソワカメは、俺の個性を知ってる？
知ってるのに、怖がらなかった？
気味悪がらなかった？
俺を化け物扱いしなかった？
「ッ……！」
信じられなかった。
俺の個性を知って、怖がらないヤツなんていなかったから。
でもアイツの目は、嘘をついてるように見えなかった。
「ッ好き勝手言いやがって……！！」
アイツはずっと、俺と対等だった。
＿＿＿＿『てめぇの過去がどうとか、何を抱えてんのとかはよ。心底どうでも良いんだよ』
『でもな。てめぇはヒーロー目指してんだろ？だからここに立ってんだろ？ならよぉ！』
『＿＿＿＿ンなもん、さっさと乗り越えてこいや。
それがてめぇの、スタートラインだろ』
「ッ言われなくても、俺は＿＿＿＿！！」
「っ！？」
ドン！
前を見ないで走っていた俺は、勢いよく目の前の何かにぶつかった。
ぶつかったのは人間で、ソイツは衝撃に耐えられず後ろに倒れ尻餅をつく。
「っ邪魔なんだよ！」
俺がそう吐き捨て、また走りだそうとした瞬間。
「待てよ」
「！？」
「そんなに急いで何処行くんだ？」
ソイツがグイッと俺の腕を引っ張った。
「轟……！」
ソイツは俺のよく知ってるヤツだった。
「なぁ、一之瀬。俺と一緒に帰らないか？」
「は？！誰がテメェなんかと、」
「頼む。……お前と、話がしてぇんだ」
「！」
その懇願するような目に、気がつけば俺は頷いてしまっていた。
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名前決まらないドン(プロフ) - 戻ってくる事を祈って待っております (2019年5月11日 13時) (
レス) id: 54f25622c3 (このIDを非表示/違反報告)
あげあげ！ - 主人公のツンツンデレ具合がちょうど良すぎて死にそう(吐血) (2018年7月16日 23時) (レス) id: 94845ca325 (このIDを非表示/違反報告)
●龍●(プロフ) - うふさん» あなた様にこの小説が読み返されていることがとても幸福です！確かにみんな格好良いですよね…！ (2018年7月14日 13時) (レス) id: 5b64b63f06 (このIDを非表示/違反報告)
うふ - 読み返すたび毎度思う、全キャライケメン。 (2018年7月12日 3時) (レス) id: 54f25622c3 (このIDを非表示/違反報告)
●龍●(プロフ) - 餅原 葵さん» 初めまして、コメントありがとうございます！一之瀬君が人気でとても嬉しいです…！そう言っていただけて本当に有難いです！更新頑張らせていただきます！ (2018年7月3日 18時) (レス) id: 5b64b63f06 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：●龍● | 作成日時：2017年12月25日 19時
