化け物が百二十五匹。 ページ38
「ごめんねデクくん！お待たせしました！」
「あ、麗日さん！一之瀬くんも！……て、あれ？麗日さんどうしたの？どこか痛いの？」
背中を丸めて手で押さえながら現れたチビに、もじゃ男が心配そうに聞く。
「あー、へへ。実はさっき転んじゃったの。背中思い切り打っちゃって」
「ええ？！だ、大丈夫？！保健室行く？！」
「大丈夫大丈夫！このくらいへっちゃらだよ！」
「そ、それならいいんだけど……」
転んじゃった、の部分で俺をジトッと見つめるチビにもじゃ男もはてなを浮かべながら俺をチラチラと見て、それを俺は「こっち見んじゃねェよボケ」の一言で終わらせた。
飛び蹴りをした俺を、あの後チビが反射的に個性を使って浮かし、アイツが蹴りをモロに受けるのは免れた。
でもそれで俺の気がすむわけがねェ。
だから解除されてすぐ、しゃがんで片足をブンッと床に滑らせチビの足を引っ掛けて思い切り転ばせた。
へあ？！という最高に間抜けな声を上げて倒れたチビをダッセェと鼻で笑い、文句を言うソイツを置いて歩き出す。
それにチビがついてきて、今に至るっつーわけだ。
「おい。これ開けんぞ」
「あ、うん！勿論どうぞ！」
風呂敷を指差して言うとチビは打って変わってにこりと笑う。
あァ、言ってなかったがここは食堂だ。
だから人間共が気持ち悪ィほど集まってるしうるせェしうぜェし苛々するしで今すぐ出て行きてェが、食堂に入った途端に強烈に香る食べモンの良い匂いに俺の食欲が最大限に刺激され、無理だった。
別に俺は飯が嫌いなわけでも食べれねェわけでもねェから、もうさっきから何か食いたくてしょうがねェ。腹が減った。早く食べさせろ。
そんな思いで風呂敷を引っ張ると、中からごろんと丸い黒い物体が何個か出てきた。
「……あん？んだこれ」
「おにぎりだよ！私A君の好みとか、嫌いなものとか知らないからさ。これならハズレはないだろうって思って」
鮭と梅とかつおの三種類作ってきたんだ！とはにかんだ後、チビはもじゃ男を見る。
「ふふー、そしてなんと！デク君にも作ってきてもらいました！」
「は？舐めてんのか？んな握り飯ばっかいらねェわ」
「ち、違う違う！僕はおかず係だから！」
「あ？」
「そう！私がおにぎり係で、デク君がおかず係って決めてきたの」
なんだソレと俺が口を開く前に、「ほら食べて食べて！時間なくなっちゃう！」とチビは騒ぎ、「ど、どうぞ……！」ともじゃ男は弁当箱の蓋を開けた。
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名前決まらないドン(プロフ) - 戻ってくる事を祈って待っております (2019年5月11日 13時) (
レス) id: 54f25622c3 (このIDを非表示/違反報告)
あげあげ！ - 主人公のツンツンデレ具合がちょうど良すぎて死にそう(吐血) (2018年7月16日 23時) (レス) id: 94845ca325 (このIDを非表示/違反報告)
●龍●(プロフ) - うふさん» あなた様にこの小説が読み返されていることがとても幸福です！確かにみんな格好良いですよね…！ (2018年7月14日 13時) (レス) id: 5b64b63f06 (このIDを非表示/違反報告)
うふ - 読み返すたび毎度思う、全キャライケメン。 (2018年7月12日 3時) (レス) id: 54f25622c3 (このIDを非表示/違反報告)
●龍●(プロフ) - 餅原 葵さん» 初めまして、コメントありがとうございます！一之瀬君が人気でとても嬉しいです…！そう言っていただけて本当に有難いです！更新頑張らせていただきます！ (2018年7月3日 18時) (レス) id: 5b64b63f06 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：●龍● | 作成日時：2017年12月25日 19時
