化け物が百二十六匹。 ページ39
「……」
俺に喋らせないコイツらに腹が立ち表情が歪むも、目の前の食いモンに意識を奪われ黙る。
丸とも三角とも言えない歪な形の握り飯。
全体を海苔で巻かれ、その上にラップでまた巻かれている。とにかく黒い。
隣には長方形の緑の小さめの弁当箱。
玉子焼き、ウインナー、ピーマン、唐揚げ、オレンジなど無駄に種類が豊富にある。地味なコイツが作ったにしては色とりどりだ。
さァ、どんな味がすんのか。
まず俺は握り飯を手に取り、ラップをちぎり剥がして思い切りかぶりついた。
「わぁ、一口が大きい……！」
「ど、どう？美味しい？……て言ってもご飯握るだけやから美味しいも不味いも無いと思うけど、」
「マズい」
「「へ？」」
俺のはっきり零した一言にチビともじゃ男は目を見開き、その後チビは顔が真っ青になった。
「え、え、うそ、私なんか変なの入れたっけ？！あ、もしかして塩と砂糖間違えた……？！」
だが俺はアホみてェに焦ってるソイツを無視して今度は弁当箱に手をかけ、玉子焼きを口に放り投げる。
「あぁっ、素手で……？！一之瀬君僕箸持ってきてるよ？！」
「……」
「……い、一之瀬く、」
「マズい」
「ひぃ！！」
俺の言葉を予想はしていたのか、もじゃ男はがくりと上半身を崩れさせたがすぐに回復し、「なんだ？僕は何を間違えた……？卵の焼き加減は丁度良かった筈だし調味料の量だって」とまたブツブツお得意の独り言を言い始めた。
俺は握り飯を食いながら呟く。
「クソマズい」
「……う、うぅ、ごめんね、私のやつは大丈夫だったんだけど……」
「ゴミ食ってるみてェだ」
「っも、もう食べなくていいよ！私何か他の買ってくるから」
「どうしたらこんなモン作れんのか知りてェわ」
「だから、食べなくいいってば！」
チビはヤケになって俺の手から握り飯を奪おうとするが、俺はソレを避けて握り飯を食い続ける。
俺とチビのちょっとした攻防戦が始まった。
まあ勝つのは当然俺だけど。
ブツブツ言い続けるもじゃ男と、必死に俺に手を伸ばすチビと、それでも食うのをやめねェ俺。
側から見たら奇妙な光景だ。
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名前決まらないドン(プロフ) - 戻ってくる事を祈って待っております (2019年5月11日 13時) (
レス) id: 54f25622c3 (このIDを非表示/違反報告)
あげあげ！ - 主人公のツンツンデレ具合がちょうど良すぎて死にそう(吐血) (2018年7月16日 23時) (レス) id: 94845ca325 (このIDを非表示/違反報告)
●龍●(プロフ) - うふさん» あなた様にこの小説が読み返されていることがとても幸福です！確かにみんな格好良いですよね…！ (2018年7月14日 13時) (レス) id: 5b64b63f06 (このIDを非表示/違反報告)
うふ - 読み返すたび毎度思う、全キャライケメン。 (2018年7月12日 3時) (レス) id: 54f25622c3 (このIDを非表示/違反報告)
●龍●(プロフ) - 餅原 葵さん» 初めまして、コメントありがとうございます！一之瀬君が人気でとても嬉しいです…！そう言っていただけて本当に有難いです！更新頑張らせていただきます！ (2018年7月3日 18時) (レス) id: 5b64b63f06 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：●龍● | 作成日時：2017年12月25日 19時
