化け物が百十八匹。 ページ31
＊
「ああ、そうだ。聞き忘れていたが、おまえの個性のデメリットはなんなんだ？」
「あァ？」
あれからまた少し経ち、俺も落ち着いてきた頃にクソワカメは切り出した。
唐突に来た質問に俺はひっくり返った椅子を足で雑に蹴り起こしながら片眉を吊り上げ聞き返す。そしてそのまま堂々と足を組んで座るとソイツは眉を顰めてから出そうになったため息を飲み込んだ。
「デメリット、なァ……」
「まさか無いとか言わないだろうな」
「んなわけあるか。あるに決まってんだろ舐めてんのか」
「俺のこと舐めきってんのはおまえだろうがよおい」
クソワカメの言葉を思い切りスルーしながら、俺の頭にはふと一昨日の記憶が浮かんでいた。
あの時俺は山ん中で個性の練習をしてた。で、何回か個性使って次の練習に移ろうと足を一歩踏み出した瞬間、俺の心臓が暴れ出しやがったんだ。
「……」
アレは個性のデメリットなのか？コイツに言った方がいいのか？
結局、アレの原因は未だにわかってねェ。
俺の個性のデメリットはすげェ疲れるってのだけな筈だ。だからきっとアレと個性とは関係ねェんだろう。でもアレが起きたのは個性使った直後なんだよなァ。実は俺はなんか心臓の病気に罹ってました、とかんな馬鹿な話あるわけねェし、関係ねェとはまだ言いきれないか……？
「……あー」
まァいいか。ああなったのは初めてだし、個性と関係してる可能性は低いだろ。それにコイツに言わなきゃいけねェ理由もねェしな。
そう結論付けた俺ははっきり言った。
「疲れる」
「は？」
「は？じゃねェよ。使い過ぎると疲れんだよ。それが俺の個性のデメリット」
何言ってんだコイツって顔に出てるソイツにイラっときて軽く睨みながら吐き捨てると、クソワカメは怪訝そうに俺を見つめた。
「本当か？返答にかなり間があったが」
「本当だっつの。なんでこんなとこで嘘つくんだよ」
「……それほどの強個性を持っておきながら、デメリットが疲れるだけ、か」
「あァ？んだよその引っかかる言い方。……じゃあもういいわ。勝手に疑ってろバーカ」
クソ、言うんじゃなかった。何が信頼関係だ。ふざけやがって。
盛大な舌打ちとともに組んでた足を下ろし床に叩きつけて立ち上がると、クソワカメは驚くほど素直に口から謝罪の言葉を零した。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1498人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
名前決まらないドン(プロフ) - 戻ってくる事を祈って待っております (2019年5月11日 13時) (
レス) id: 54f25622c3 (このIDを非表示/違反報告)
あげあげ！ - 主人公のツンツンデレ具合がちょうど良すぎて死にそう(吐血) (2018年7月16日 23時) (レス) id: 94845ca325 (このIDを非表示/違反報告)
●龍●(プロフ) - うふさん» あなた様にこの小説が読み返されていることがとても幸福です！確かにみんな格好良いですよね…！ (2018年7月14日 13時) (レス) id: 5b64b63f06 (このIDを非表示/違反報告)
うふ - 読み返すたび毎度思う、全キャライケメン。 (2018年7月12日 3時) (レス) id: 54f25622c3 (このIDを非表示/違反報告)
●龍●(プロフ) - 餅原 葵さん» 初めまして、コメントありがとうございます！一之瀬君が人気でとても嬉しいです…！そう言っていただけて本当に有難いです！更新頑張らせていただきます！ (2018年7月3日 18時) (レス) id: 5b64b63f06 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：●龍● | 作成日時：2017年12月25日 19時
