君の他には何にもいらないよ

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特に花が咲くわけでもない会話を続けていると、ホールのざわつきが聞こえだす。

こんな人混みじゃ、当然原因を見れるわけない。
それにジョニーさんが呆れたように顔を歪ませたから、こりゃきっとエースさんと客が盛り上がっちゃったんだな。

「あーあ、また始まったで！あら、けいくん」
「ガムさん、どうも」
「放っとき、もう」

不貞腐れたように言い捨ててグラスを磨き始めたジョニーに、2人でニヤニヤと視線を送る。
何だかんだ心配してるのが丸わかり。
一層可愛らしくて笑ってしまう。

だから、後ろの喧騒なんて気にならないはずだった。


「Did something wrong !?」


やけに流暢な英語と、聞こえるはずのない聞き慣れた声。
その後に続くエースさんの愉快な笑い声と、セコンドらしいアーセナルさんの鋭い声。

血の気が引いた音がした。

「けいくん？どうした」
「ガムさん手伝って！」

席を飛び降りて、顔を覗き込んだガムさんの腕を引き、ホールへ飛び込む。
野次馬達を押し退けると、騒ぎの中心に、

「ごめんなさい！！！！」

「やっぱり、けいと！？」


謝りながらも、見事にエースさんに一本背負いを決めたSHINOBIが立っていた。

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