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「イギリス魔法省からのグリンデルバルドの死刑求刑を拒否した」
「え？」
「正確には、日本の魔法法執行部が、ゲラート・グリンデルバルドの罪状に対する判決を無期懲役とした。死刑求刑の上告も棄却した。そして今現在日本の他に、イギリス魔法省の友好国で死刑を存続している国はない」
「えっと……」
「つまり。キミの曾祖父が死刑になることは当分なくなったというわけだ」
スネイプの説明はいつもよりはるかに丁寧だったが、ユリがそれを理解するのには時間を要した。
ユリは羊皮紙を引き寄せ、目を走らせる。
たしかに、グリンデルバルドを死刑にはしないという内容が書かれて、最後に「日本魔法省魔法法執行部部長 ハンゾー・オカダ」の名前があった。
そして、これは今朝の出来事だ。
そうか、アンブリッジはだから今日、ユリに標的をしぼったのだ。
一気に力が抜けて、また涙が零れだす。
スネイプは今度は呆れ気味に小さなため息をついたが、何かを言うことは無かった。
「なんで、無期懲役なんですかね？死刑になるって、みんな思ってましたよね」
やっとまた落ち着いてきて、ユリは鼻声でそう言った。
スネイプは「知らん」とだけ返して、立ち上がった。
もう大丈夫だと思ったのだろう。
ユリも慌てて立ち上がり、自分の寮に帰ることにした。
「先生、私、今家にとうさんがいないので。帰っても家に入れないんですけど、どうしましょう？」
「グリモールド・プレイスの本部に行け。ブラックには話がついている」
スネイプは唇をほとんど動かさずにそう言ったが、シリウスの名前を言うときだけ忌々し気に顔が歪んだ。
ユリは苦笑いして「はい」と返事をした。
寮に戻って放課後になると、みんなが談話室の暖炉の前にトランクを置いてクルックシャンクスと戯れていたユリに殺到した。
かけられる言葉は、あるいは気遣いの言葉であったり、あるいはアンブリッジに対する憤怒であったり、あるいは殴ったことへの賞賛であった。
ユリはそのどれもに笑って「ありがとう」と返した。
ハリーたち三人はユリのひいおじいちゃんのことまで心配してくれて、事の顛末を説明すると一応は安心したようだった。
「大丈夫だよ。きっとダンブルドア先生が戻ってくるから」
この談話室で一番楽観的なのは、たぶんユリだった。
そして夜八時、ユリの元に退学通知書が届いて、それでやっとユリはホグワーツを出た。
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作者名：にはろ | 作成日時：2023年2月18日 22時
