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許可をもらえなかったので、バタフライは別の方法を取ることにした。
杖を特徴的に、小刻みに動かす。
まるで、空中に絵を描くように。
それだけで彼が何をしようとしているかわかったハンゾーは、全身の毛をブワッと獣みたいに逆立てて、阻止しようと身を乗り出した。
それを見ていたリドルは、目の端に何かがきらめいたような気がして、視線を横に投げた。
右の肩に、小さな紫の蝶が一匹、とまっている。
リドルがそれを払う前に、蝶は空へと飛んでいき、瞬きの間に何百、何千と増えだした。
視界を紫と輝きが覆い、何も見えなくなってしまう。
これが、全校で唯一バタフライだけが使える幻惑の魔法である。
それが数秒続き、次に視界が開けた時、勝負は決していた。
バタフライがいつの間にかステージの反対側に移動し、ハンゾーの上に乗り上げてヘッドロックをかけている。
ギブギブとハンゾーが床を叩いているが、お構いなし。
彼は、虫嫌いな生徒が本気の罵声を浴びせかけてくるのに、悠々と中指を立てた。
「はい、はい。レクイエム君の勝ち！ハンゾーくんを放しなさい。はい中指を立てない！」
言われてバタフライはふん、と鼻を鳴らし、ハンゾーの尻を一つぺん、と叩くと、立ち上がった。
エイブリーが興奮気味にリドルに話しかける。
「リドル、リドル、あのレイブンクローの寮長な、二回留年してんだってよ」
「二回？」
「留年したらあんなになれるのかなあ」
そうではない。
バタフライは入学してから七年間、ずっと負けなしだった。
セブンも、ガーベラも、彼に負けたことがある。
授業さえ出ていれば、彼はホグワーツきっての秀才になり得る人物なのである。
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作者名：みや。 | 作成日時：2023年1月31日 12時
