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「トムを気にかけてやってほしい。あの子は愛を知らずに育った」
「愛なんか私もよく知りませんよ。というか、彼はその“不幸な生い立ち”とやらをもう随分有効活用しているように見えますけど？」
その直接的な皮肉にダンブルドアは曖昧に笑った。
リドルは入学して二週間で、すでに先生生徒を味方につけていた。
容姿端麗、温良恭倹に要領の良さまで加わり、早くも一年生の中では憧れの存在となりつつあり、先輩の覚えもめでたい。
さらには不遇な身の上話も相俟って、教授に嫌われるはずもなく。
「そもそも私、自分から話しかけるのは無理です。性格上。自己分析ちゃんとしてるんで」
「そうだね。私とこれほど話せるようになるまでどれほどかかったかな」
「三年と半年」
ダンブルドアは再び苦笑する。
夏休み中もホグズミードへ赴いて交流を続けた甲斐があったというものだ。
それも、半年も経てばまたセブンや他の寮長の面々に追い抜かされるのだから、少し寂しいような気もする。
「気にかけてやるだけでいいんだ。どういう友人といるのか、気にするだけでも」
「そのくらいなら……まあ、できますけど……」
歯切れ悪く言ったガーベラに、ダンブルドアはヨシ、と笑った。
そこからしばらく他愛もない話をして、ガーベラが紅茶を飲み終わると立ち上がる。
「ごちそうさまでした」
「また飲みにおいで」
「うん」
手ぶらで来たので、手ぶらで帰る。
学校はまだ授業中だ。
ダンブルドアの部屋を出ると、校庭で飛行術をやっているのが見えた。
ネクタイの色は青と黄色。
当然、リドルがいるはずもなく。
ガーベラは肩をすくめた。
そもそも、あの集団は四年生である。
そして、次の飛行術はグリフィンドールとスリザリン五年生の合同授業。
のろのろと長い廊下を歩きはじめる。
向かう先はグリフィンドールの寮塔。
この女、次の授業もサボる気である。
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作者名：みや。 | 作成日時：2023年1月31日 12時
