graveyard ページ33
,
「エネルベート！活きよ！」
ユリは億劫に目を覚ました。
一日中だらしなく眠っていたあとのようだ。
気分が悪いし、身体も怠い。
やがてピントが合ってくると、どうやらここは自分の見知った場所ではないらしいということと、後ろ手に縛られているということが分かった。
少し離れた場所に、誰かが立っている。
こちらに杖を向けている。
フードの下の顔が見えた。
ワームテールだ。
去年、「叫びの屋敷」で少し見たネズミだ。
腕に何かを抱えている。
ユリはその影が抱えているものが、赤ん坊のように見えた。
それとも単にローブを丸めただけのものだろうか？
だんだん頭が冴えてきて、今何が起きているのか頭が整理しようとし始めている。
ムーディに、何故か三階の女子トイレに連れていかれたところまでは覚えている。
そこからの記憶は無かった。
昨夜必死に頭に叩き込んだ「魔法史」と、大得意の「魔法薬学」の試験を受けたおぼえもない。
ブーンと耳鳴りのする中、微かな話し声が風に乗ってとどいた。
そこでやっと、ここが外であることに気づく。
「……ハリー？」
暗がりに目を凝らすと、たしかにハリーと、もう一人セドリックが見える。
なぜ？
二人は第三の課題の準備中なはずだ。
ユリはまったく状況が呑み込めずに、記憶が途切れているせいで時間もわからず、少しパニックになって辺りを見回した。
ホグワーツの城は見えなかった。
でも、「禁じられた森」でもない。
城を取り囲む山々さえ見えなかった。
暗い、草ぼうぼうの墓場だ。
ユリの縛られているのも、大理石の墓石だった。
小さな教会の黒い輪郭と、丘の斜面に堂々とした古い館が立っている。
魔法使いが住む集落ではないのは確かだった。
ビンズ先生によれば、魔法使いや魔女とキリスト教は相性が悪い。
ホグワーツのクリスマスやイースターは、形だけ借りて騒いでいるのにすぎないのだと言っていた。
今回の試験範囲だ。
ユリは頭を振って、無駄な思考をかき消した。
「ハリー！」
「ユリ！？」
そのとき、何の前触れもなしに、ハリーが両手で顔を覆い、がっくり膝を折った。
そして、どこか遠くのほうから聞こえるような甲高い冷たい声がする。
「よけいなやつは殺せ！」
その瞬間、ユリの口は考えるより先に動いた。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 838人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あまね(プロフ) - いっぱいちゅき！ (2023年2月12日 23時) (
レス) @page46 id: 2b125e9969 (このIDを非表示/違反報告)
ダイアナ(プロフ) - 不死鳥の騎士団編がみたいだけなのにTwitter運営さんはそれを許してくれないようですかなし (2023年2月12日 14時) (レス) id: 29bd455e8b (このIDを非表示/違反報告)
ダイアナ(プロフ) - みや。さん» ま、また凍結されてますね、、、ついてないですね、、、🥺 (2023年2月12日 14時) (レス) @page46 id: 29bd455e8b (このIDを非表示/違反報告)
サクラ(プロフ) - みやさんの不死鳥の騎士団見たいですね(๑•̀ㅁ•́ฅ✨ (2023年2月11日 19時) (レス) @page46 id: b396ddc2bf (このIDを非表示/違反報告)
みや。(プロフ) - ダイアナさん» 一週間が経ってしまったので、移行しました。よろしくお願いします🙌 (2023年2月10日 13時) (レス) @page46 id: f8ad011ce4 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：みや。 | 作成日時：2022年9月21日 19時
