【HP】血は水よりも濃し【アズカバンの囚人】 (ページ10)

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「ああ、セブルス。ユリも」

ルーピンが笑顔で言った。

「どうもありがとう。このデスクに置いていってくれないか？」

スネイプは同僚の先生に対してニコリともせず、ゴブレットを机に慎重に置いた。

そしてすぐに、ユリを置き去りにして部屋を出て行く。

「セブルス、ありがとう」

「礼には及ばん」

バタン！とドアが閉まった。

残されたのはルーピン、ハリーと、眉間を押さえて天を仰ぐユリ。

ハリーが困惑気味に問う。

「どうしたの？」

「……礼には及ばん…………」

どうやら去り際の言葉が胸に刺さったようだった。

相変わらず、彼女のツボはよくわからない。

それこそ、スネイプのことをハンサムだと言ったときから。

渋い顔をするハリーの横で、ルーピンは優しく笑う。

「ユリはスネイプ先生のことが大好きなんだね」

「うん……」

「彼は素敵な先生だよね」

「そうですよね！？」

ユリはそう身を乗り出した後、ハッと我に返って恥ずかしそうに「ごめんなさい」と謝った。

優しい笑みのまま「いいえ」と言ったルーピンにホッとして、「あ」とトートバッグから課題を取り出す。

「ルーピン先生お休みなのにごめんなさい。天文学の課題を教えてほしいんです」

「おや。苦手なのかい？」

「苦手です」

ハリーはそれを見てうげ、と顔を顰めた。

彼もまだ課題が終わっていないのだ。

「僕も済ませてくる」と言って、部屋を慌ただしく出て行った。

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