【HP】血は水よりも濃し【アズカバンの囚人】 (ページ9)

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毎年事件の起こるハロウィーンの日。

ユリはスネイプの研究室にいた。

彼が今週は今日しか空いていないと言うので、ホグズミード行きを捨てて「ワクワク個別質問教室」にやってきたのだ。

ハリーも残るというし、仕方ないと諦めたが、やはりハリーは死んでもスネイプの研究室など行きたくないと言ったので、結局今日も一人だった。

いつもと違うのは、スネイプが常にそばにいないことだ。

奥の部屋で何やら小難しい顔をして薬を調合しているので、質問がある場合にはいちいち立って聞きに行かなければならなかった。

スネイプの声がわざとかと思うほど小さいのだ。

薬が何かは教えてくれなかった。

三年生の教科書には載っていない。

「せんせー、この問題わかんない」

「問題？……レポートが終わったならすぐに出て行け」

「えー教えてくださいよ。天文学苦手なんです」

ユリはしれっと天文学の宿題を広げていた。

ハーマイオニーが最近忙しそうで聞くことができなかったのだ。

オーロラ先生はいつもどこにいるかわからないし。

「帰れ」

「うーん……」

スネイプは大鍋を片付け始めていた。

できあがったようだ。

ダメ押しでもう一度「それ何薬ですか？」と聞くが、やはり無視される。

「我輩はルーピンにこれを届けに行かねばならん。戻ってくるまでにこの部屋から去っていなければ、二度と質問は受けない」

「えー。じゃあルーピン先生に聞こ」

スネイプが一瞬眉を顰めたが、ユリは気づかない。

トートバッグに教材を突っ込み、レポートだけ提出して、スネイプに付いて部屋を出た。

「最近ね、ロンとハーマイオニーが喧嘩してるの」

「……」

「ハーマイオニーのネコがロンのネズミを食べようとしてるんです」

スネイプはやはり全無視だった。

ルーピンと書かれたドアの前に辿り着くと、中から何やら声がする。

ハリーだ、と合点がいって、ユリはコンコン、とノックした。

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