【HP】血は水よりも濃し【アズカバンの囚人】 (ページ7)

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「おい、何してる？僕で薬の実験をしようなんていうんじゃないだろうな」

「ううん。傷が治るやつ探してんの。ポンフリー先生がいつ帰ってくるかわからないし、そのままじゃ痛いでしょ。……あった」

ハナハッカエキスとラベルの貼られた薬品瓶を取り出して、足場の椅子からとん、と降り立ち、マルフォイに掲げて見せる。

彼はいかにも不安ですという表情でユリとそれと自分の傷を見比べた。

「大丈夫。私スネイプ先生の一番弟子だもん」

「弟子を取った覚えはない」

黒いベルベットの声がして、はっと振り返った。

きっとハグリッドが呼んだのだろう、スネイプが立っている。

マルフォイはホッと安心するように息をつき、ユリはパッと花咲くように笑った。

「こんにちはスネイプ先生！」

スネイプはユリをじろ、と睨みつけるだけで、何も返さない。

速足でマルフォイの座る前まで来て、ユリから瓶をひったくった。

そしてその蓋を開け、傷口に三滴垂らす。

緑がかった煙が上がって、すぐに傷は癒えた。

ユリは、ホラ合ってたでしょと言うような、はたまたこの薬の効き方をはじめて見たのか、そんなキラキラした瞳でスネイプとマルフォイを交互に見た。

そして二人は同じような、鬱陶しそうな視線を同時に彼女へ向ける。

「勝手に薬を用い治療しようとしたことは褒められた行動ではありませんな、ミス・グリンデルバルド。グリフィンドール5点減点」

「エーッ」

ユリはキラキラを収めて落胆した。

でも言われたことはわかったので、素直に「……すません」と謝った。

談話室に戻るよう追い立てられ、シュンとしながら医務室を出る。

去り際、マルフォイにも小さく言った。

「ごめんね」

マルフォイは何を謝られたかわからず返事ができなかった。

数瞬の後、理解する。

きっと彼女は、その髪の毛の先まで善意でできているのだ。

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