【HP】血は水よりも濃し【アズカバンの囚人】 (ページ6)

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書店で買う時から手に負えなかった「怪物的な怪物の本」を開けと言う。

ユリは純粋に疑問で、マルフォイはほぼ嫌味で、そう言ったのだった。

二人は驚いて視線を合わせ、マルフォイが先に気まずげに目を逸らす。

ユリはグリフィンドール寮生だが、スリザリンからは一目置かれていた。

曾祖父がゲラート・グリンデルバルドだからである。

ユリやハリーたち四人はハグリッドの最初の授業を何とか成功させてやりたかったが、それは少し……少し、難しそうだった。

ヒッポグリフは誇り高い魔法生物。

「怪物的な怪物の本」によれば、”そこそこ”危険性が高い。

つまり、尊大なスリザリン生たるマルフォイとは馬が合うはずもなく……。

悲鳴が上がる。

ヒッポグリフのバックビークが、マルフォイを攻撃したのだ。

彼は草の上に倒れ伏し、バックビークはなお襲いかかろうともがいていた。

腕を切り裂かれたマルフォイに誰よりもはやく駆け寄ったのは、クラップでもゴイルでも、ましてやスリザリン生でもなくて、ユリだった。

ハグリッドはなんとかしてバックビークを抑え込もうと奮闘している。

「大丈夫？！」

「死にゃせん！誰か、手伝ってくれ……この子をこっから連れ出さにゃー」

ハグリッドがマルフォイを抱え上げ、医務室へと道を急ぐ。

「魔法生物飼育学」の生徒たちは大ショックを受けてそのあとをついていった。

スリザリン生は全員ハグリッドを罵倒し、グリフィンドール生は全員ハグリッドを擁護している。

そんな中、ユリだけ猛スピードで階段を駆け上がっていくハグリッドを息絶え絶えに追いかけ、医務室へ辿り着いた。

すると入れ違いにハグリッドが出てくる。

腕がマルフォイの血でところどころ赤くなっていた。

「ユリ、おまえさん、ちょーうどよかった。俺ァマダム・ポンフリーを探しに行くから……ちょいとあの子を見といてくれ」

「あ、うん……たぶんスプラウト先生か温室かスネイプ先生のところだと思う」

行く当てのなさそうなハグリッドにあまり当てにならない数の候補を伝え、医務室に入った。

「大丈夫？」

「これが大丈夫に見えるのか？やっぱりあのウスノロが教師なんてやるべきじゃなかったんだ」

白いシーツを血で汚して、マルフォイが背中を丸めて座っていた。

軽いケガではなさそうだが、嫌味を言う元気はあるらしい。

とりあえずホッとして、ユリは薬品棚を漁りだした。

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