【HP】血は水よりも濃し【アズカバンの囚人】 (ページ37)

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ユリは腕の中のマントを抱えなおすと、ふと何かが包まれていることに気づく。

怪訝に思って包みを開くと、それは小瓶に入ったオリーブ色の魔法薬だった。

ご丁寧に使用法が書いた紙まで貼ってある。

筆跡には見覚えがあった。

細いが筆圧は伝わる字。

スネイプだ。

ユリはカッと頬を赤く染めて、走ってグリフィンドールの談話室に戻り、ハリーにマントを押し付け……「どこでこれをッ？」「スネイプ先生が拾って返してくれた！」……、部屋に駆け込んで小瓶の栓をキュポン、と開けた。

ラベンダーの香りがする。

右腕の包帯とガーゼを慎重に剝がして、書かれている通りに薬を塗りこむ。

「ワーオ……」

あっという間に傷が塞がった。

グリンデルバルドに会うまでに治るか微妙だったが、これなら彼が舌をかみ切らずに済む。

今年はたくさんスネイプ先生に助けてもらったな、と思案する。

シリウス・ブラック侵入のハロウィーンに、インフルエンザのクリスマス。

イースターに「天文学」を見てもらったときに教えてもらったことを期末試験で思い出して、落第せずに済んだ。

そして、今も。

いろいろあったな、と思う。

こんな気持ちも当然かもしれない、とも。

そうだ、多分これは。

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