【HP】血は水よりも濃し【アズカバンの囚人】 (ページ32)

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ロンたち、大丈夫かな。

怪我してないかな。

そんなユリの心配を他所に、スネイプはずんずん進み…。

そして、寂れた部屋に出た。

スネイプがユリに、唇に人差し指を当てて示した。

音を立てるなということだ。

上から微かに話し声がする。

二人や三人ではない。

あの三人以外にも人がいるのだ。

スネイプは眉根を寄せ、ユリに囁いた。

「ここで大人しくしているように」

そして足音を立てずに階段を上っていく。

ユリも大人しく従って、そこにあったボロボロのソファーに腰かけた。

埃が舞い上がってくしゃみが出そうになるが、耐える。

それから一時間ほど、ユリは身を縮めて三人と、スネイプの帰りを待っていた。

何度かものすごい爆発音と怒鳴り声が聞こえたが、先生に言いつけられた通り大人しくしていた。

「黙れ」だとか、「嘘をつくな」だとか、「友を裏切るくらいなら死ぬべきだった」とか、明らかに穏便ではない空気を感じたが、多分今自分が行ったらめちゃくちゃややこしくなるので静かにしていた。

すると一通り終わったらしく、思っていたより多い足音が階段を下ってくる。

先頭はなんとクルックシャンクスで、その後ろからルーピン、ロンがネズミのような顔をした小柄な男とムカデ競争のようにつながって出てきた。

さらにその後ろからもう一人知らない男…いや、フリットウィック先生が学校中に掲示した手配書で幾度となく目にしたシリウス・ブラックが、スネイプを伴って下りてくる。

そして、ハリーとハーマイオニーだ。

ユリは焦った。

何故みんながシリウス・ブラックと一緒にいるのか。

彼は大量殺人犯ではなかったのか？

しかも、ああ、スネイプがそのそばで気を失って宙に浮いている。

ブラックに杖を向けられているのだ。

しかもその杖はスネイプのものだった。

ユリはついに状況が理解できずに、とりあえずスネイプとシリウスの間に割って入った。

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