【HP】血は水よりも濃し【アズカバンの囚人】 (ページ31)

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cat, rat, dog, and... ページ31

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「先生、スネイプ先生！」

ユリはその時、恋心に構ってやる余裕はなかった。

そして、最初に出会ったのが、スネイプであったというだけ。

バックビークの処刑の前にハグリッドを訪ねるにあたり、後ろめたいことなので「透明マント」を使うことになったが。

やはりマントの中は三人でギリギリであり、ジャンケンの結果ユリの一人負け再び。

彼女は人差し指と中指の立った拳を悲しげに見つめ、三人を送り出したわけだが、寮塔の窓からぼうっと小屋の方を見つめていたところ、ロンがマントを飛び出して駆けていくのを発見した。

そしてその先は「暴れ柳」だったが、根元に通り道があるのか、ロンはその中へ姿を消した。

ハリーとハーマイオニーも続いて、これは厄介ごとになったなと察してユリは塔を駆け下りたのである。

先生の助けがいるかもしれないと思い、一番穏便に解決しそうなルーピンの部屋に向かったところ、そのドアの前でスネイプと鉢合わせ、冒頭である。

彼は片手にあの青い煙のゴブレットを持っていた。

駆け込んできたユリと、誰もいない部屋を怪訝に見比べ何かあったなと察する。

「ロンが暴れ柳に、す、吸い込まれたんですけど！？」

突拍子の無い発言にスネイプは舌打ちを一つして、ゴブレットを置き廊下を速足で抜けた。

校庭に出て、なお後ろにユリが駆け足でついてきているのを一瞥して、怒鳴る。

「何をどうしたらそうなる？」

「知らないッ」

「ポッターとグレンジャーは」

「一緒です！」

スネイプの顔に愉悦は浮かばない。

「暴れ柳」なんて、退学云々の前に生死沙汰である。

木の前に来ると、たしかに人が通れるくらいの穴があったが、枝をぶんぶん振り回して暴れており、こんな中にどうやって入ったのかと困惑する。

しかしスネイプが木の幹のコブの部分を長い棒で突っつくと、柳の動きが止まる。

そのうちに、ユリは根元に落ちていた「透明マント」を回収して、ドキドキしながら穴に入るスネイプに続いた。

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