【HP】血は水よりも濃し【アズカバンの囚人】 (ページ29)

今日:84 hit、昨日:29 hit、合計:163,728 hit

ページページ29

.

彼に対しては憧れしか抱いていなかった彼女にとって、これは衝撃だった。

指先が触れた瞬間、身体に電流の走るような心地がして、それから、一気に熱くなったのだ。

いつか、あの黒い雅を一目見た時と同じだった。

衝動で告白したハーマイオニーとは、二人だけの秘密にしてもらった。

ともあれ、テストだ。

試験の始まった城は異様な静けさに包まれた。

月曜日、最初の科目は「変身術」で、三年生は教室からヨレヨレになって出てきて課題が難しすぎると嘆いた。

ティーポットを陸亀に変えるという課題もあって、みんなは苦戦したようだがユリのはたぶん大丈夫だろう。

そして昼食の後「呪文学」の試験があって、それで初日は終了した。

二日目にはユリの大不得意な「天文学」があったが、同日の試験は大得意の「魔法薬学」とハグリッドの「魔法生物飼育学」だったので、夕方の復習の時間をすべて「天文学」にあてることができたのはラッキーだった。

バックビークの控訴の日程が決まったハグリッドは完全に心ここにあらずの状態で、取れたばかりの「レタス食い虫」を大きな盥いっぱいに入れ、一時間後に自分の「レタス食い虫」がまだ生きていたらテストは合格だと言い渡した。

「レタス食い虫」は放っておくと最高に調子がよいので、こんな楽な試験はまたとなかった。

午後は「魔法薬学」で、ユリは「混乱薬」をしっかり調合したが、採点のためにスネイプが近くに来た時、気づかれないように息を詰めるのに必死だった。

恋心の発生から一か月も経っていない。

身体が熱くなって、息が荒くなってしまうのに気づかれないための苦肉の対応だった。

.