【HP】血は水よりも濃し【アズカバンの囚人】 (ページ21)

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ハーマイオニーとロンが、決定的に仲を違えてしまった。

ハーマイオニーがマクゴナガル先生にチクって取り上げられたハリーのファイアボルトが、ようやく返ってきた。

二月のその日のことである。

状況から、スキャバーズがついにクルックシャンクスに食われてしまったものと思われた。

今までなんとか取り繕ってきたが、今度こそハリーにも、ユリにすらどうしようもなかった。

二人自身はクルックシャンクスがスキャバーズを食ってしまったに違いないと思っていた。

ハリーがハーマイオニーに状況証拠ではそうなると言うと、ハーマイオニーは二人にまで癇癪を起こした。

「いいわよ。ロンに味方しなさい。どうせそうすると思ってたわ！」

ハーマイオニーはヒステリー気味だ。

「……ユリ、あなただけは信じてくれるって思ってた」

そう言って、ハーマイオニーは踵を返してしまう。

ユリは心底ショックを受けて、落ち込んでしまった。

どうしよう。

ユリには、どうしてハーマイオニーがあんなに怒っているのか分かった。

疲れすぎているのだ。

『逆転時計』を使って、一日中、睡眠時間すら削って勉強。

ボロボロになるに決まっている。

ユリは、自分にできることを考えて、考えて。

「先生、土曜日、私ハーマイオニー誘ってホグズミードに行きます。せっかく時間空けてくれたのにごめんなさい」

木曜日、S評価の魔法薬学のレポートを受け取りながらユリはスネイプに言った。

理由は告げなかったのに、彼は「結構」と言うだけで、何も勘繰りはしなかった。

たぶんどうでもいいのだ。

休みが増えたぐらいに思っているだろう。

「ハーマイオニー！今週末、一緒にホグズミード行こう。二人で」

急に声をかけたユリに呆気にとられた後、ハーマイオニーは少し早口で答えた。

「お誘いどうもありがとう。でも、私、週末の内に授業の予習を済ませなくちゃ」

「おねがい！一緒にバタービール飲も？そこで勉強してていいから」

妥協案に渋々了解したハーマイオニーにユリは喜んで、土曜日の朝、彼女を連れだした。

パンパンに勉強道具が詰められたトートバッグが気になるが、それが条件だからまあ仕方がない。

ホグズミードに着くなり、二人は『三本の箒』に入った。

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