【HP】血は水よりも濃し【アズカバンの囚人】 (ページ18)

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休暇初日、ユリは華氏102度(摂氏39度)の高熱で医務室行きになった。

朝食に起きてこないユリの、いつもは白い肌が真っ赤で、身体が湯気の出るほど熱くなっているのをハーマイオニーが発見して、マクゴナガル先生に運んでもらったのだ。

ホグズミードでインフルエンザを貰ってきたものと思われた。

感染症、こればかりは魔法薬ではどうにもならないので、ユリはもう三日も医務室で寝込んでいる。

クリスマスの朝目を覚ますと、ベッドの脇に昨日はなかった山が見える。

気だるげに首をもたげて確認すると、友だちからのプレゼントが沢山。

今年のクリスマス休暇はほとんど全員家に帰ってしまったので、みんな居残りのユリを気遣って贈ってくれたのだ。

流石に今全部を確認する余裕はないので、これだろうというものを取り上げた。

父からのものだ。

袋の中に、プラダの黒革の手袋と、手紙が二通。

『ユリへ
　元気でいますか。
　寂しい思いはしていないか。
　父はいつもおまえを気にかけているよ。
　存分に楽しんで、そして無事に帰ってきてください。
　この冬は特に寒いそうだよ。
　暖かくして、健康に気をつけて。
　ユリに、多くの幸せがあるように
　父より』

『ユリ
　メリークリスマス
　どうか、怪我の無いように
　愛をこめて、爺より』

横になりながら、赤く火照った頬を緩ませてそれを読んだ。

そしてそのまま微睡に身を任せる。

それは瞬きのようで、目を覚ますともう夕方だった。

今日はクリスマスだ。

多分、他のみんなは楽しく宴会を催しているところだろう。

マダム・ポンフリーも、「安静にしているように。ごちそうをいくらか持ってきますからね」と置き手紙を残して行ってしまった。

なんだか寂しくなって、他のプレゼントでも開けようかと思案していると、医務室の扉が開く。

熱でピント調節がうまく働かない。

でも、ぼやけた視界に真っ黒が映っただけで、それが誰なのかすぐにわかった。

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