【HP】血は水よりも濃し【アズカバンの囚人】 (ページ17)

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ヨーゼフがまた出張だ。

よって、ユリはクリスマス休暇の学校居残り組に名を連ねた。

おじいちゃんと会えないことは残念だけれど、ホグワーツはそれはそれで楽しいので、まあいい。

学期の最後の週末にはホグズミード行きが許され、今回はユリも行くことにした。

誘われたからだ。

「ユリ、キミ、正気か？マルフォイと行くなんて」

「うん。一緒に行こって言われたからいいよって言った」

金曜日の魔法薬学終わりに傷の完治したマルフォイに呼び止められ、「い。一緒に来いよ」と言われたのである。

決して「行こ」などというフレンドリーな言い方ではなかったけれど、ユリは快諾した。

ハリーたちにはそうでなくても、ユリにとってマルフォイはもう友だちだった。

「何回か来たことあるんだ？」

「ああ。母上がたまに連れてきてくださる」

そう言うだけあって、マルフォイはホグズミードの地理に、他の三年生より幾分か詳しかった。

ユリの欲しいものはマルフォイのおかげで全部そろったし、ハニーデュークスにはキラキラしたお菓子がたくさん。

『三本の箒』で飲んだバタービールは、冷えた身体には最高だった。

「おいおい、おチビちゃんが一丁前にデートだぜ」

「坊やはレディのエスコートの仕方なんて知らないだろ？ユリ、こっちへ来いよ」

店にはフレッドとジョージもいて、彼らは二人を目敏く見つけ、これでもかと冷やかした。

マルフォイは青白い頬を真っ赤にして怒ったが、それは双子をさらに駆り立てるだけである。

ユリは双子がとめどなく飛ばす冗談にケラケラ笑いながら、それでもマルフォイから引きはがそうとする二人を相手にしなかった。

曰く、「デート中だから邪魔しないで！」と。

帰ってきて、ホグワーツの玄関で別れる。

生徒でごった返す中、マルフォイが小さい声で言った。

「僕は、ポッターやウィーズリーやグレンジャーは顔も見たくないけれど、お前は、……」

吃って、そして。

「お前は、嫌いじゃない」

言うだけ言って恥ずかしくなったのか、そそくさと踵を返したマルフォイの背に、ユリはそのキラキラの笑顔を向けて大きな声で返した。

「ありがとう、ドラコ！」

彼は正真正銘の友達だ。

いつか、ハリーたちともこの嬉しさを共有できると良いな、と願いながら。

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