【HP】血は水よりも濃し【アズカバンの囚人】 (ページ14)

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「え、じゃあどうするんですか？」

「太った婦人が襲われた。今夜は全校生徒大広間に泊りだ。ワクワクするな」

一足先に心境を読まれて、気まずげに曖昧に笑う。

大広間へ送られる途中、いつもずば抜けて速足のスネイプが歩幅を合わせて歩いてくれているのに気付いた。

いつもはスネイプの歩くのが速すぎて、小走りで一歩後ろの位置関係なのだが、今夜は物騒だからだろう。

ピッタリ隣に並んでいる。

それがなんだか面白くて、嬉しくて、ユリはニヨニヨしながら口を開く。

「そうだスネイプ先生。トリックオアトリート。お菓子くれなきゃイタズラしまぁす」

無視されるかと思ったが、こめかみに青筋を立てたままのスネイプがほとんど唇を動かさずに返した。

「イタズラはシリウス・ブラック侵入下の失踪で十分だ。大人しくしろ」

「……え、もしかして心配してくれてた……！？」

「マクゴナガル先生と校長に謝れ」

「そっちかー」

ダンブルドア先生がユリの捜索を第一優先にしたに違いない。

本当に申し訳なくなって、「すみませんでした」と謝った。

今度こそスネイプは無視して、やっと大広間に辿り着く。

ユリが悪いことをしたわけじゃないので叱られることはなかったが、「心配かけてすみません」と言うと、去年のこともあってか、「まったくです」と呆れられた。

ダンブルドア先生はひとつハグをくれて、そのまま就寝を促される。

「おともだちはあそこじゃよ」

その言葉通り、ハリーたち三人は壁際で固まっていた。

手渡された寝袋を抱えて近寄ると、ハーマイオニーが飛び起きてユリに駆け寄る。

「どこ行ってたのよ！心配したわ」

「ふくろう小屋。心配かけてごめん。でもスネイプ先生が見つけてくれたから無事だよ」

「そりゃあそうよ。スネイプったら、あなたがいないってダンブルドアに言ったら真っ先に大広間を出て行ったもの」

「えっ」

予想外の言葉にビックリして思わずロンたちを振り返ると、彼は微妙な顔で頷いた。

「ウン。メッチャ速かったぜ」

やっぱり私のこと心配なんじゃん！

みんなが寝る体勢でなかったら今ここでスネイプに聞こえるように叫んでいたかもしれない。

ユリはドキドキしてしまって、その夜はあまり眠れなかった。

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