【HP】血は水よりも濃し【アズカバンの囚人】 (ページ13)

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二人でむしゃむしゃ食べながら他愛もない話をした。

最近あったこととか、魔法界のこととか、日本のこととか。

彼が魔法のことやホグワーツの場所を知っていたことを疑問に思ったりはしなかった。

この双子は美貌の上に本当に物知りなのだ。

なんでも知っている。

聞けば誰も知らないような答えが返ってくる。

ヨーゼフは「父君に似たんだね」とよく褒めていた。

二人のお父さんが病気なので、たくさん勉強したんだって。

であるから、ユリは二人のことをすごく尊敬している。

話しているのが楽しくて、いつの間にかすっかり日も暮れ、宴会もお開きの時間になっていた。

急に彼がピン、と背筋を伸ばして、聞き耳を立てる。

「……誰か来た。そろそろ帰るわ」

「え、あ、ウン」

困惑の内に彼は小屋の窓から空に身を委ねる。

あっという間に消えた彼にビックリしていると、彼の言う通り後ろから人が来た。

「スネイプ先生ぇ」

ユリはふにゃ、と誤魔化すように笑う。

こめかみに血管を浮かせたスネイプがそこに立っていた。

よく見ると額に汗が滲んでいる。

何かあったらしいと察して、同時に心配と迷惑をかけたらしいとも理解した。

「えーっと……何かありました？」

「シリウス・ブラックが侵入した夜に一人散歩とは……」

途中まで嫌味を言いかけたが、呆れ果てて続きの言葉が出ないようだった。

去年もそうだった。

事件が起きるとき、ユリは必ず他の人と違う行動をしている。

「誰と話していた？」

「えー……別に誰も……」

「では、シリウス・ブラックが校内をうろついている時分に、ふくろう小屋で独り言を。これはこれは……大物ですな」

シリウス・ブラック。

今年に入ってから幾度か聞いた名だ。

アズカバンという魔法界の監獄を脱獄して、ハリーを狙っているらしい。

「ふーん」と思って話を聞いていたが、いつの間にこんな近くにまで来ていたようだ。

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