【HP】血は水よりも濃し【アズカバンの囚人】 (ページ2)

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「ユリ、ユリ。聞け」

「？なあに」

「お前はよく頑張った。この二年本当によく頑張った。だから約束してくれ。今年は何があっても危ない目に合わないように努力すると」

「別に好きで厄介働いてるんじゃないんですけど……」

「そうだとしてもだ。お前が少しでもケガをして帰ってきたら、ジジイは過って舌を噛み切って死んでしまう」

「それはやだ」

「じゃあ約束してくれ」

グリンデルバルドの懇願に面食らいながらも、ユリは二、三度頷いた。

大好きなおじいちゃんの頼みだ。

聞かないわけがない。

看守の足音が遠くで響いていた。

今日もまた、時間が近づく。

グリンデルバルドは立ち上がり、ユリの前に屈む。

カルセドニーを手に取って…少し、親指の先で表面を拭って、ハタと気づく。

「これは……」

カルセドニーの中に、白百合の装飾が光っていた。

ダイヤモンドだ。

「ヴォルデモートから守ってくれた時に、ちょっと割れちゃったみたいなの。とうさんがお直し頼んでくれたんだ」

ユリは嬉しいような、困ったような、そんな複雑な表情で笑った。

グリンデルバルドも、彼女と同じような心境になって息だけで笑いを漏らす。

高価であろうそれをまじまじと見つめ、そしてキスを落とした。

目を瞑って、祈るように。

いとしいユリがどうか、無事に、安心して過ごせるように。

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