the boy who lived ページ5
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「ここいい?」
ユリが苦労して9と4分の3番線11時ちょうど発のホグワーツ特急にぎりぎり乗り込むと、やはりどこのコンパートメントもいっぱいで、暫し彷徨った。
やっと空きを見つけ、そこに黒髪の男の子が一人ポツンと座っているだけなのを確認して、声をかけたのだった。
「他、どこもいっぱいなんだ」
彼が頷いたので、礼を言って男の子の向かいに座る。
数瞬の沈黙があり、ユリのペット…ワタリガラスのジョン・ドゥが退屈に一つ鳴いたところで、二人は同時に口を開いた。
「あのさ……あ」
二人は目線で譲り合い、ユリが先に言った。
「ユリ・グリンデルバルド」
「僕ハリー・ポッターだ」
「へえ!じゃあ君が?」
「アー、ウン」
ハリーが緑の瞳を泳がせた。
動揺しているというより、呆れを感じる動きだ。
きっと、今までに何度も言われてきたのだろうなと思った。
「みんな僕のこと知ってる。不思議な感じだ」
「だろうね」
「君も僕の名前聞かされて育ったの?」
「いンや?私もハリーと同じ、魔法と関係無い場所で育ったから。正直、生き残ったとかよくわからないな」
そこで、ハリーが初めて笑みを見せた。
あ、心許されたな、と感じる。
ユリも、その人間離れした色の笑顔をハリーに向けた。
「そう言ってくれるとずいぶん気が楽だよ。僕にもわからないことだらけなんだ」
「よかった」
二人は握手を交わした。
緑の瞳と蒼の瞳が合って、ハリーが口を開く。
「君の目、すごくキレイだ」
その言葉にユリは目を瞬かせて、はにかむ。
「へへ。これね、じいちゃんとお揃いで気に入ってんだ。ハリーの目も緑のキラキラでキレイだね」
「ありがとう……僕の目は母さん似なんだって」
「じゃあ、私とおそろいだ」
「ある意味ね」
そのとき、コンパートメントの戸が開いて、赤毛の男の子が入ってきた。
「ここ空いてる?」
ハリーの隣の席を指さして尋ねた。
「他はどこもいっぱいなんだ」
二人がうなずいたので、男の子は席に腰かけ、チラリとハリーを見たが、何も見なかったようなふりをして、直ぐに窓の外に目を移した。
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にはろ(プロフ) - 理緒さん» ご意見ありがとうございます!修正しました。今後ユリという名前に関する記述が少し出てくるかと思いますが、無視していただければ大丈夫です。 (2022年4月19日 21時) (レス) id: f8ad011ce4 (このIDを非表示/違反報告)
理緒(プロフ) - 名前ってユリになってるんですがリノを使いたいのですが変えれませんか? (2022年4月19日 10時) (レス) id: 946438c0c3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みや。 | 作成日時:2022年1月24日 13時